<Wコラム>康熙奉(カン・ヒボン)の「日韓古代史が面白い」渡来人の足跡(後編)
Wow!Korea / 2016年7月19日 23時59分
その若光の菩提寺として751年に創建されたのが聖天院である。高麗郡の本寺として知られ、江戸時代には「院主の格式は諸公に準ずる」と言われるほどだった。若光の墓と伝えられる「高麗王廟」が聖天院にあるのも、そこが彼の菩提寺だからだ。
その聖天院から500mほど北には高麗神社がある。若光を祀る神社で、宮司は若光の子孫が代々務めている。
今に至るまで、若光の血が旧高麗郡の地に伝わっていることに驚く。古代が連綿と現代につながっていることの証明ではないだろうか。
■新羅郡の新設
高麗郡の誕生から42年後の758年に、武蔵国に新たな郡が生まれている。それが新羅郡である。
新しい郡を作るにあたって、朝廷は渡来人の僧侶32人、尼2人、男性19人、女性21人を武蔵国に集めている。ほとんどが新羅人だと推定される。
場所は現在の新座(にいざ)市のあたりだ。この歴史的事実によって、「新座」という地名が新羅にゆかりがあることがわかるだろう。
またしても、朝廷は東国開発に渡来人の力を活用したのだ。新羅は三国時代を制して統一王朝を築いていたが、もともとは朝鮮半島の中で日本に一番近い国であった。日本の朝廷は遣新羅使を668年から836年まで28回も送っている。
その際、特別に通訳のための要員が必要なかったと言われている。それほどお互いの言葉は近かったのである。
亡国の百済や高句麗の人たちが新天地の日本でそれなりの生活をしている……そんな噂が新羅でも広まり、多くの民が日本に渡ってきたことだろう。そういう人たちを集めて新羅郡が新設されたのである。
■高句麗人と坂東武士の関係
入間川をはさんで、新羅郡の反対側は高麗郡。両郡は対峙する形になったが、もともと朝鮮半島では宿敵同士。果たして、日本ではどのような関係にあったのか。高麗郡の住民が新羅郡に敵対意識を燃やすことはなかったのだろうか。
さらに、気になることがある。1799人もの高句麗人が高麗郡に住み、その末裔たちはどうなったのか、ということだ。
高句麗人というと、馬の扱いに長(た)けた人々だった。彼らが武蔵国に移住してから3世紀ほど経つと、関東で馬を操る坂東武士が目立つようになる。彼らは勇猛な一団だが、果たしてどこから生まれてきたのか。
何か、高句麗人の末裔と関係があるのかどうか。
大きな謎である。
この謎を解明するのは非常に難しいであろうが、「馬」を中心に考えると、何か見えてくるものがありそうだ。
日本の中世と近世は武士の時代だった。古代とは明らかに様相が変わってしまったが、果たして渡来人たちの影響はどこまで及んだのだろうか。
文=康熙奉(カンヒボン)
出典=『宿命の日韓二千年史』(著者/康熙奉発行/勉誠出版)
(ロコレ提供)
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