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<Wコラム>夏こそ行きたい! 韓国南部の旅~珍島の雲林山房

Wow!Korea / 2016年8月16日 22時21分

静寂が破られたので、私は雲林山房を出た。道路を隔てた向かい側の食堂にも大勢の団体客がいた。テラスでマッコリを飲む人たちが大声で笑い合っている。駐車場に目をやると、幹事役の人が手に抱えきれないほどの焼酎を持って観光バスの中に入っていく光景も見られた。このときばかりは、一人旅の寂しさを痛切に感じた。

■珍島の絵はがき

ハラボジに言われた通り、駐車場の先まで行ってバスの停留所を探したが、どうしても見つからない。近くに観光案内所があったので、そこで聞いてみようと行ってみると、偶然にも先ほどのハラボジが座っていた。

「バスの停留所がわからないのですが……」

「駐車場の端に立っていればバスが停まってくれるから心配はいりません。それより、まだ時間があるから中に入っていらっしゃいよ」

好意に甘えて、私は小さなプレハブの中に入った。ハラボジの横には40代の男性が一緒に座っていた。

「雲林山房はどうでした?」

ハラボジにそう聞かれたので、私は大きく頷きながら言った。

「山水画も良かったし、蓮池の周辺の景色が美しくて安らぎますね」

「気に入ってもらえて私もうれしいですよ」

ハラボジと話をしていたら、となりにいた40代の男性が会話に加わってきた。よく聞いてみると、奥さんが日本人だという。ただし、彼は日本語がほとんどわからない様子だった。ということは、夫婦の会話はもっぱら韓国語なのだろう。一体、どこで知り合ったのだろうか。

「ソウルに行ったとき知り合ったんですよ」

照れながら彼はそう言っていたが、奥さんもソウルからこの珍道まで来るにはかなり勇気が要ったのではないか。いくら海割れの島として知られていても、結婚して住むとなったらまったく別の苦労があるに違いない。

それだけ夫の支えが欠かせないが、男性は優しく家庭的な感じがした。私に珍島の絵はがきを何枚かくれたのだが、その中には海割れの写真を載せたものも含まれていて、人の群れが沖合の島まで押し寄せている様子がよくわかった。

■日本から珍島に嫁に来た女性

4時半が近くなってきた。バスの時間なので礼を言って観光案内所を出ようとしたら、思いがけず男性から「この観光案内所も4時半に閉めますが、その時間に妻が車で迎えにくるんですよ。バスターミナルまで送りますから、一緒に行きましょう」と声をかけられた。申し訳ないので辞退したが、「妻は日本人だから話も合いますよ」としきりに勧められる。結局、奥さんに対する興味もあり、申し出をありがたく受けた。

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