<W解説>韓国の芸能事務所「HYBE」による同業「SM」買収、「『モンスター』エンタメ企業」誕生に伴う懸念
Wow!Korea / 2023年2月16日 10時24分
世界的な人気グループ「BTS(防弾少年団)」などが所属する韓国の芸能事務所「HYBE」が、BoAや「東方神起」、「少女時代」などを擁する「SMエンタテインメント」の筆頭株主になることが発表された。HYBEは10日、競合するSMエンタの創業者、イ・スマン氏が保有する株式を約4200億ウォン(約440億円)で取得すると発表。HYBEの持分は14.8%となり、一気に筆頭株主になる見通し。韓国メディアは「超大型の『モンスター』エンタメ企業が誕生する」と衝撃を持って伝えた。
HYBEの歴史は前身のBIGHITエンターテインメントが2005年2月、芸能プロダクションのJYPエンターテインメントから独立した作曲家のパン・シヒョク氏によって設立されたことに始まる。所属の「BTS」の世界的な人気を受けて一気に巨大企業へと成長した。一方、事務所の大黒柱の「BTS」は、最年長メンバーのJINが昨年12月から兵役に入っており、今後、しばらくはグループとしての活動ができない状況となっている。
一方、SMエンタは、前身の「SM企画」が1989年2月に設立した。韓国エンターテインメント界を代表する企業の一つであり、業界への影響力の大きさなどから「SM帝国」とも称される。経営の実権は創業者のイ・スマン氏が握ってきた。ちなみに社名に含まれる「SM」はイ氏の名「スマン(Soo Man)」から取っている。
両社はこれまで、それぞれのカラーやスタイルを持って競争し、着実に成長してきたが、HYBEは今月10日、SMエンタと資本提携すると発表。SMエンタ創業者のイ氏の保有株を買い取った上でTOB(株式公開買い付け)を実施し、同社株の約40%取得を目指す。
HYBE創業者のパン取締役会議長と、SMエンタのイ氏は共同声明を発表し、「両社の総力を結集し、グローバル市場でK-POPの地位をさらに高めていく」とした。HYBE側は「SMエンターテインメントの買収によって世界音楽市場でゲームチェンジャーに飛躍する」とのコメントを発表した。
突然の業界再編に衝撃が走ったが、韓国の有力紙・ハンギョレ新聞は「期待と懸念が交錯している」と指摘。「HYBEがSMを買収することになれば、シナジー効果によってグローバル市場での競争力が高まるだろうという観測が出ているが、K-POPの多様性が脅かされることになり得るという懸念が少なくない。時価総額11兆ウォン(約1兆2000億円)に達する単独企業が音楽産業を主導することになれば、中小芸能事務所の活躍の場が減り、格差がますます広がりかねないという声もある」と伝えた。
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