「復活の日」や「究極超人あ〜る」も!南極・昭和基地の膨大な蔵書に注目集まる 隊員の“孤独”を埋めた
よろず~ニュース / 2024年4月25日 11時30分
![「復活の日」や「究極超人あ〜る」も!南極・昭和基地の膨大な蔵書に注目集まる 隊員の“孤独”を埋めた](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/yorozoonews/yorozoonews_15243771_0-small.jpg)
これでもまだまだほんの一部だそうです(一般財団法人WNI気象文化創造センター提供)
南極・昭和基地で隊員たちに読まれてきた蔵書がX上で大きな注目を集めている。
「昭和基地から帰ってきた本たち
昭和基地の古本をSHIRASE5002で引き取る。
古いもので1972年頃から52年もの間、昭和基地の書棚に置かれていた本も。1年で交代する越冬隊員よりも長い間、昭和基地に置かれ、読まれて続けてきた。
7月ころには公開出来るよう準備中。お楽しみに。」
とそれらを紹介したのは1983年から2008年にかけて日本と南極を往復した三代目の南極観測船で、現在は展示・保存されているSHIRASE5002のX公式アカウント(@shirase5002)。
写真に写るのはごく一部ということだが、小説、エッセイ、漫画などありとあらゆるジャンルの書籍が。
いずれもよく読み込まれた形跡があるが、昭和基地に滞在する隊員たちはどんな思いでこれらの書籍のページをめくったのだろうか。
今回の投稿に対し、Xユーザー達からは
「歴代の隊員たちが『厳選して』持参した点を考えると、かなりのベストセレクションでは?
よく『無人島に一冊だけ本を持っていくなら?』みたいなアンケートがあるけど、それのリアル版。」
「書籍ではありませんが、新人隊員を『物体X』や『エイリアン』でもてなすのも定番とか。しらせで南極越冬に赴いた友人から聞きました😊」
「素晴らしい。一つ一つの背表紙に見入ってしまいました。ネットのない時代に、この本たちが隊員たちの孤独を埋めてくれていたんですね」
など数々の驚きの声が寄せられている。SHIRASE5002を管理する一般財団法人WNI気象文化創造センターの担当者に話を聞いた。
担当者:昭和基地には隊員向けの書籍が数多く持ち込まれていて、70年近く前の第1次隊の頃から所蔵され続けてきました。
書棚を置いている部屋が日本と昭和基地を衛星回線で結び、授業や会議をすることを目的としたスタジオとして生まれ変わることになったため、古くなった本を日本に持ち帰ってくることになりました。持ち帰った後は廃棄処分することも検討されていたのですが、当時の関係者が先代の南極観測船のしらせ5002で引き取ってもらうことができないかとの相談があり、関係機関との調整の上、引き取らせていただくことになりました。
ーー書籍の数量、ジャンルの傾向をお聞かせください。
担当者:5,000冊くらいあると思います。30名近い越冬隊員が1年間にわたって寝泊まりしながら仕事をし続ける場所ですから、ありとあらゆるジャンルの本が有ります。文庫本やハードカバーの小説が多いのですが、医学書や料理の本、その場を和ませるためのコツなどが書かれた本などもあります。
担当者:当時の遭難の話に関することが記載された文庫本の痛みが激しく、最も読まれている本のように思えます。この他にも昭和40年代の文学大全集や登山に関するテーマの本、ミステリー小説やサスペンスモノも多いです。
ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。
担当者:これらの本を引き取ったとき、ほどんど価値のないものにしか見えなかったのですが、今回の投稿でこれだけ多くの人達の気を引くことになるとは思ってもいなかったです。この写真が多くの反響を得たのは、南極で仕事をしている人がどんな本を読んでいるのかといった好奇心や、私も同じような本を読んでいるとの共感から来ているのではないかと考えてます。今後のSHIRASEの価値を考える上でヒントにつながったのかもしれません。
ーー書籍は今後どのような形で公開されるのでしょうか?
担当者:船内の部屋に図書室を作るための準備を進めています。SHIRASE文庫〜南極から帰ってきた本の部屋〜として一般見学できるようにしてまいります。また、当時の越冬隊員の方から実際に読んだ本の話なども可能な範囲で聞き取り、集めていきたいです。
◇ ◇
今後の一般公開を楽しみに待ちたい。
SHIRASE5002は毎週木〜日曜日に見学可能。オンラインによる事前申込制で木・金曜日は元自衛官によるガイドで船内を周るツアーが、土・日曜日は船内の一部をガイド無しで見学できるコースが用意されている。ほかにも、年に数回、実験体験や南極、天気のしくみについての話が聞けるイベントが催される盛りだくさんの施設なので、ご興味ある方はぜひホームページをご覧いただきたい。
(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)
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