高卒新人が月収30万超え…なのに人手不足 海運業界の知られざる求人事情が話題に
よろず~ニュース / 2024年6月3日 7時50分
笹木重雄さん
タンカー船員の求人事情がSNS上で大きな注目を集めている。
「一般の高卒新人さん(未経験で無免許)のタンカー船の初年度給料を計算。そしたら手取りで約27万+タンク掃除手当が3万ちょい。てことは月30万越え。3ヶ月乗って、休暇の給料も含めたら、ひと月の休暇で使えるお金が100万超えてる。『もうこの生活から戻れない』って言ってた。なのに人不足なのなぜ?」
と自社の事情を紹介したのは東幸海運株式会社代表取締役の笹木重雄さん(@shigeonisan)。
厚生労働省が発表した令和5年賃金構造基本統計調査によると高校新卒者の平均給与は18万6800円。それに比べると笹木さんの挙げる条件はかなり好待遇のはずだが、なぜ人不足が起こっているのだろうか?
SNSユーザー達から数々の驚きの声が寄せられる今回の投稿について笹木さんにお話を聞いた。
ーータンカー船員の待遇についてどう思われますか?
笹木:当社のタンカー船は国内のみの航路でガソリンなどの石油製品を運ぶ仕事です。タンカー船の乗組員は約3か月間乗船して住み込みで働き、約1か月間連続で休暇になるサイクルの繰り返しになります。
このため乗船するたびに、社会人にとってはなかなか取れない長期の休暇をまとめて取ることができるのが大きなメリットです。長期の海外旅行やリゾートを楽しみたい人には向いているといえます。
その他のメリットとしては、乗船中の食事や作業服、飲み物(アルコール除く)やお菓子もは会社から支給されるため、お金をためやすいことや、通勤も秒単位になるので満員電車に乗る必要がないこと、日本中のいろんな港に行けること、釣りが好きな人は船を止めている自由時間に釣りを楽しめることなどです。
デメリットとしては、海上での集団生活になるので、乗船中は自由に買いものに行けないことや、石油製品を運ぶため、お酒やたばこについては制約があることなど。仕事の4時間前からは飲酒禁止で毎回アルコールチェックがあり、たばこは指定箇所でのみ喫煙可能です。
ーー人不足の原因についてお考えをお聞かせください。
笹木:一番の原因はタンカーの船員という知名度が低いことだと思います。石油を運ぶタンカーだというと、海外に行くイメージや、外国人が乗っているというイメージがありますが、日本はガソリンなどをあまり輸入していません。海外から輸入されるのは原油であって、日本国内の製油所という工場でガソリンや灯油、軽油、ジェット機の燃料や船の燃料の重油が作られます。
このように製油所で作られたガソリンなどの石油製品を国内各地にある港のタンク設備に配って回るのが石油タンカーのお仕事です。この国内の石油タンカーには基本的には日本人しか乗ることができないと定められているため、日本人の船員さんを集める必要があるのですが、知名度が低い仕事なので、なり手が少ないと考えています。
また、船の仕事を知っている人の中にも、専門の学校を出ていなくてもなることはできるのに、「船の免許がないとなれない」「商船大学を出てないとなれない」のように間違った思い込みをされる人もいらっしゃるようです。実際にSNSを発信するようになってから「若い時に知ってたら、自分も船員になったのに」と言われることが多いです。
ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。
笹木:この投稿はあまり興味を持たれないだろうなと思っていたので、予想外に広がって驚いています。特に当社のお給料は平均よりほんの少し高い程度のものですので、「もっと高い会社もある」というコメントは予想通り来ましたが、「そんな仕事があることを知っていればなったのに」という反応や、「3か月も家族と離れて暮らすなんて無理」「船酔いするから船は無理」というご意見もいただきました。
また、女性でもなれるのですか?というDMもいただいたので、当社には4名の女性の乗組員がいることを伝えエントリー方法をお伝えすることもできました。もちろん誰にでもハマる職業や働き方ではないと思います。でも、連続して働いて、長期の休みを取りたいという人も世の中にはいらっしゃると思います。
なので、多くの人にタンカー船の船員さんという職業を知っていただき、向いていると思う人にはぜひ挑戦していただきたいと思っています。
◇ ◇
東幸海運ではYouTubeチャンネル「東幸海運タンカーの日常」やXで普通の人が見ることのできないタンカー船の日常を発信中。普段使っているガソリンや灯油などの石油製品がどのように運ばれるか、またタンカー船員がどんな仕事か興味のある方はぜひチェックしていただきたい。
※東幸海運株式会社のタンク清掃手当は6隻のタンカー船のうち5隻が対象
(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日本の貿易の99%を支える海運をもっと知ってほしい 海の日に商船三井が大型貨物船見学会
OVO [オーヴォ] / 2024年7月17日 10時40分
-
関東在住ですが、先日東北へ旅行にいったときガソリンが2円ほど安くて驚きました!なぜ地域差があるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月11日 12時0分
-
内航海運業界の人材確保と育成に関する懇談会を開催 - 若い船員が離職する理由とは
マイナビニュース / 2024年7月10日 11時0分
-
"船員として働く"選択肢を広げる「めざせ! 海技者セミナー in 仙台」レポート
マイナビニュース / 2024年7月9日 9時27分
-
船の新燃料の“本命”? 国内初の内航「メタノール燃料」タンカーの実力 世界中で供給可能!でも日本では
乗りものニュース / 2024年7月6日 7時42分
ランキング
-
1トヨタの新型「ランドク“ルーミー”」初公開!? 全長3.7m級「ハイトワゴン」を“ランクル化”!? まさかの「顔面刷新モデル」2025年登場へ
くるまのニュース / 2024年7月23日 11時50分
-
2ダニ繁殖シーズン到来…アレルギー持ちや痒くてたまらない人はカーペットと畳に注意
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月24日 9時26分
-
3泥酔して道端で寝ていると…介抱してくれた“女性”のまさかの正体。一ヶ月後に再会し、「思わず絶句した」
日刊SPA! / 2024年7月23日 8時52分
-
4義母と元夫は減塩生活中!? 嫁に去られた親子の今…【お義母さん! 味が濃すぎです Vol.48】
Woman.excite / 2024年7月15日 21時0分
-
51日400杯売った「元ビールの売り子」が裏側を暴露。真夏のデーゲームの“過酷すぎる舞台裏”
日刊SPA! / 2024年7月23日 15時54分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください