お客さん来ない?パリ五輪の経済効果に不安要素 高額費用と治安の懸念で鈍い動き…“直前割引”に期待も
よろず~ニュース / 2024年7月10日 11時0分
エッフェル塔(Guillaume Louyot/stock.adobe.com)
2024年のパリ五輪(開会式7月26日)が迫ってきた。本来であれば、開催都市に経済的恩恵をもたらすはずのオリンピック。ただ、今回は観光客の動きがこれまでになく鈍いというデータが出ている。高額な費用、フランスの政情不安と治安への懸念などが、ファンの足を遠ざけているようだ。
ある大手データ会社によると、6月6日以降のパリ行きの航空便の予約数は前年比10%程度の伸びにとどまるという。2016年のリオ大会では訪問者数が115%も増加、つまり2倍以上となったのとは対照的。コロナ禍で21年に開催された東京大会でさえ、20%増加していた。
また開幕直前数週間のホテル予約数は、前年同期よりも減っている。米国に拠点を置くスポーツに特化した旅行代理店によると、ここ25年のあらゆるスポーツイベントでこれほど低い予約数を見たことがないという。
市観光局は、五輪期間中のホテルの平均宿泊料金が昨年より70%上昇し、1泊369ドル(約5万9000円)になったと発表している。一方で民泊は好調で、サイトのエアビーアンドビーは、パリでの予約数が過去最高を記録したとしている。これらは価格に敏感な消費者の動きを表しているのかもしれない。
航空会社のエールフランスKLMは7月初旬、五輪観戦以外の目的で同国を訪れる観光客が減るため、夏季の売上は予想を下回るとの見通しを発表した。ある旅行代理店は、顧客が旅行を延期する理由として、価格だけではなく安全上の懸念を挙げているとした。フランスでは7日に総選挙が行われ、 最高レベルの警戒態勢が敷かれた。パリ警察のトップは6月にイスラム過激派テロが治安上の最大の懸念事項であると述べていた。
それでも、一部の旅行代理店は、開幕直前にチケットや宿泊施設の需要が高まることを期待する。“直前割引”が消費者の購買意欲を刺激し、駆け込み的に予約ラッシュが起こる、との読みだ。
また、別の分析会社は、来場者は欧州各地から電車や車で到着する可能性があり、航空便の乗客には計上されないだろうとの見方を示した。実際、鉄道運行会社のユーロスターは、五輪とパラリンピック期間中のパリ行き切符の売上高が、前年比7%増加したと発表した。
不安な要素が出てきている中、最新の調査では、五輪がパリ地域に最大120億ドルの経済効果をもたらすと推計している。
(ロイター/よろず~ニュース編集部)
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