大谷翔平の二刀流起用、再現に困りましたか?【パワプロ30周年独占インタビュー】第3回「モード」
よろず~ニュース / 2024年7月14日 12時10分
![大谷翔平の二刀流起用、再現に困りましたか?【パワプロ30周年独占インタビュー】第3回「モード」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/yorozoonews/yorozoonews_15339597_0-small.jpg)
「パワフルプロ野球」シリーズ30周年記念動画より©Konami Digital Entertainment
2024年にシリーズ30周年を迎えた人気野球ゲーム「パワフルプロ野球」シリーズ(以下、パワプロ)。その記念作品『パワフルプロ野球2024-2025』が18日に発売される。株式会社コナミデジタルエンタテインメントの豊原浩司氏、池本健二氏、成田藤智氏、濱見太輝氏がこのほど、よろず~ニュースの取材に応じ、パワプロの“これまで”と“これから”を語った。全4回にわたる独占インタビュー。第3回のテーマは「パワプロのモード」。
◇ ◇
「サクセス」「ペナント」「マイライフ」など、数々の名物モードを誕生させてきたパワプロ。野球やゲームの変化に合わせて、進化を続けてきた。
ゲーム機の形態は据置型から携帯型にまで広がった。スーパーファミコン、PlayStation、NINTENDO64、Wii、Nintendo Switchなど、次々に新しいゲーム機が登場。つまり、それはコントローラーも新しくなるということ。パワプロはアクションゲームである以上、ユーザーの技量はもちろん、コントローラーの操作性に影響される部分は少なくない。
「どのコントローラーであっても関係なく遊べるモードも作りたい」。そう語ったのは「栄冠ナイン」モードの生みの親である池本氏。高校野球の監督となってチームを育成し甲子園優勝を目指す同モードでは、ユーザーは普段の練習を指示したり、試合では采配を振るうのみ。それまでのモードとは一線を画す、アクション要素ゼロのモードだが、スマホアプリ『パワフルプロ野球 栄冠ナイン クロスロード』がリリースされるなど、根強い人気をほこっている。
30年間の歴史の中で、各モードのゲームバランスを根底から覆す存在が現れたこともあった。大谷翔平選手の二刀流挑戦だ。
当時「ペナント」モードを担当していた2人は「忙しくなったなって感じですね」(濱見氏)、「頭を抱えたっていうのが正直なところ(笑)」(成田氏)と当時を回想し、苦笑いを浮かべた。大谷の二刀流起用で最も影響を受けるのが、同モードだったからだ。
選手データで“二刀流っぽい能力”を再現するだけなら簡単だった。だが、能力を再現できればいいという問題ではなかった。
「(二刀流っぽい能力の選手を)投手としてチームに入れたら、野手としても試合に出てくれるかというと、今までの『ペナント』モードではそうはなってなかった。現実の起用法のように投手として出て、ちょっと休んで野手としても出て、と正しく動くようにするのは簡単ではなかった」(濱見氏)
また、二刀流の影響は「サクセス」モードにも及んでいたという。オリジナル選手を育成する同モードでは、主に練習や試合を通して経験値をゲット。その経験値で能力をあげていくのだが…。
「経験値の量が限られているので、(大谷のように)野手としてもオールAクラス、投手としてもオールAクラスの能力を再現できるように経験値を調整すると、みんながみんな大谷選手を作るわけではないので、通常の野手・投手を作る時のバランスが崩れる。(通常の野手・投手を作るのに)ちょうどいいゲームバランスにしたら、(二刀流を作っても)大谷選手より弱い選手しか作れなくなったり…」(池本氏)
前代未聞の存在にゲーム内の各所が調整を強いられた。しかし、濱見氏は当時の制作チームの様子を「頭を抱えながらウキウキしたっていうところですね。大変だったといっても悩んでいる時は楽しそうでしたね、やっぱり」と振り返る。
開発中のテスト画面に心躍る瞬間もあったという。「震えましたね。え!?投手がDHで同時にベストナイン受賞!?みたいな」(成田氏)、「投手がDHでベストナインを受賞している画面を開発中にテストで見た時には『最高やなぁ』と思って…」(濱見氏)と回想した。
なお、野球ファンなら承知の通り、大谷は2016年、史上初の投手と指名打者でベストナインをW受賞。テスト画面の出来事を現実の世界で成し遂げることになる。
『実況パワフルプロ野球2016』(16年4月発売)では「マイライフ」モードで二刀流プレイが可能に。また、最新作では「大谷ルール」(先発投手が指名打者を兼務できるルール)にも対応。現実の世界で変わっていく野球のルールを追いかけるのは容易ではない。しかし、濱見氏は「野球界に話題を提供してくださるのは、野球ゲームを作っている身からすると、すごいありがたいことです」と感謝。これからも変わっていく「野球」に頭を抱えつつ、楽しみつつ、パワプロも進化していくのだろう。
(よろず~ニュース・藤丸 紘生)
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