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大虐殺の悲劇、旧日本軍の防空壕、銃痕残る屋敷…アジアの心霊スポット探検した元ラガーマン 厳選100か所

よろず~ニュース / 2024年7月25日 13時30分

大虐殺の悲劇、旧日本軍の防空壕、銃痕残る屋敷…アジアの心霊スポット探検した元ラガーマン 厳選100か所

台湾の心霊スポット「嘉義民雄鬼屋」。建物内の壁には旧日本兵が撃ったとされる銃痕も(撮影・濱幸成)

 「怪談」は夏の風物詩。「肝試し」と称し、その土地に伝わる〝怖い場所〟に足を運ぶ。中には、季節を問わず、そうした行動をライフワークとする人もいる。国内外で1200か所以上の心霊スポットを取材してきた心霊探検家で怪談作家の濱幸成氏だ。そもそも、この世に生きる者がなぜ〝霊的な場所〟を求めるのか…という根本的な部分を踏まえ、23日に新著「アジアの心霊スポット100選」(東京キララ社)を刊行した濱氏に話を聞いた。

 濱氏は1989年、福岡県生まれの34歳。中学生時に怪談マニアとなり、20代から車中泊をしながら47都道府県の心霊スポットを巡礼。2016年から初海外となる台湾を皮切りに昨年までアジア各国を回った。本書には10の国と地域から厳選した100か所の心霊スポットを収めた。

 第2次世界大戦やベトナム戦争で多くの人が犠牲になった場所、カンボジアのポル・ポト政権下での大量虐殺の現場も含まれている。「単なるネタではなく、悲惨な歴史を風化させずに多くの人に知ってもらい、死者を悼むという意図」(濱氏)が込められているという。

 濱氏に初心者向けの場所、印象に残ったスポットの一部を紹介してもらった。

 「ビギナーへのお勧めは台湾の『嘉義民雄鬼屋』です。劉氏という富豪によって1929年に建てられ、有名な幽霊譚が残された建物です。旧日本兵が撃ったとされる銃痕もある。雰囲気は怖いんですけど、隣にカフェがあって、その伝説にちなんだコーヒーやお茶菓子を出している。日本のお化け屋敷感覚で楽しめる場所です」

 「フィリピンの『ジャパニーズ・トンネル』は第2次世界大戦中に旧日本軍が掘った防空壕をそのままテーマパークにしています。コレヒドール島(※マニラ湾の入口にある小島)の『マリンタ・トンネル』は旧日本兵が集団自決したといわれている場所ですが、日中は音と光のショーがあったり、夜はゴーストハンティング・ツアーが行われるなど、アトラクションとして利用されている。マニラ大虐殺のような歴史がありながら、フィリピンには重苦しい雰囲気がなく、ものすごく楽観的に捉えている。宗教観や死生観の違いを感じました」

 「タイの『ムアンエク村』という、廃屋が20~30軒あり、首つり自殺や事故死が重なった場所で撮影後、白い火の玉が飛んでいるのが車から見えた。僕が『ゴースト(幽霊)!』と言ったら、運転していたタイ人の友人は『ピー(タイ語で精霊)』と当たり前のように答えました」

 濱氏は「治安」についても補足した。

 「タイやベトナム、フィリピンなど東南アジアは危ない場所がある。(幽霊より)人が怖いです。ナイフや銃をつきつけられたり、麻薬中毒者がいたり、過去に殺人事件が起こった場所もある。観光客の多い現役のお寺であるバンコクの『ワット・マハーブット』などはいいのですが、廃墟は治安面からお勧めできません。台湾と韓国は大丈夫です。ソウルの観光地『韓国民俗村』のお化け屋敷とか、映画・ドラマなどの撮影場所である廃遊園地『龍馬ランド』などは安全です」

 濱氏は中学、高校、大学の途中まで楕円形のボールを追った元ラガーマン。「オカルト」というイメージとはかけ離れ、笑顔もさわやかなスポーツマンだ。現在もウェイト・トレーニングで体を鍛え、肉体労働で資金を蓄えては探検を続ける。なぜ「心霊スポット」を追い続けるのか。濱氏はそこに「希望」を見いだしたという。

 「中学生の頃から、いつか必ず訪れる自身の死について考えることが、幽霊より恐ろしいことに代わっていたが、幽霊が現実に存在しているならば、何らかの形で死後の世界は存在しているのではないかと思い始めるようになってから、幽霊という存在が恐怖だけでなく、うっすらと人生を照らす希望の光にもなっていた」

 濱氏は「ちょっと聖地巡礼に近いところがあるかもしれないですね。ポジティブな気持ちになり、元気やエネルギーをもらえる」と付け加えた。新刊について「英語表記も入れているので、観光地にも持参いただいて、アジアの空気と非日常感を感じていただけたら」と思いを込め、今後に向けて「ヨーロッパや中南米の心霊スポットに行ってみたい」と夢を膨らませた。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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