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乳がん治療の女性芸人・天然もろこし植山「自分はできることをしようと」SNSで情報発信、8月活動再開

よろず~ニュース / 2024年7月26日 8時10分

乳がん治療の女性芸人・天然もろこし植山「自分はできることをしようと」SNSで情報発信、8月活動再開

天然もろこし・植山由美子

 お笑いコンビ・天然もろこしの植山由美子(44)がこのほど、大阪市内でよろず~ニュースの取材に応じた。乳がん治療に専念するため、昨年7月に休養することを発表、今年7月に自身のブログで8月から活動を再開することを報告した。相方の関根知佳とコンビを結成して22年。ベテラン女性芸人が病気に対する思いや、家族や周囲への気持ちを明かした。

 8月3日に大阪・心斎橋角座で開催されるイベント「アメリカザリガニ柳原のベタバース劇場」から本格的に活動を再開する。「戻れるといううれしさと同時に『いつ戻ってきてもいいよ』と言ってくれた松竹芸能であるとか、相方が待ってくれているというのが、休んでいたときの支えになったというか、戻れる場所があるというのが大事だと思いました」と喜びを口にした。

 ただ、状態が安定したということで、医師が芸能活動の再開を認めただけ。治療は続く。「これがすごく長くて。一番長い薬は10年飲みましょうみたいな感じですね。2年飲む薬もあるんですけど、そっちの方が副作用が強くて、おなかを壊すという」。長い道のりではあるが、気持ちは前向きでいる。「2年間飲む薬はめっちゃ高いんですよ。高額医療制度はあるんですが、毎月5万円くらい取られる。でも、自分はできることをしようと思っています」。ベストを尽くして、がんと付き合っていく。

 乳がんが見つかったのは昨年4月。当時2歳の長女が授乳中の時期だった。「(左胸を)触って何かあるなあと。授乳中で乳腺炎のしこりみたいな感じのことは何回かあって、それかなあと思っていて」。自然に治るだろうと放置していたが、消えるどころから大きくなっていった。「もしかして?」と思い、近所のクリニックに出向き、午前中にエコー、もう1度呼ばれて午後にマンモグラフィーで検査をした結果、恐らくステージ2の乳がんであろうということで、病院を紹介された。

 「違うかったらいいですよねって感じはあったんですけど…。やっぱり、すごく落ち込みましたね」。心の準備はしていたが、がんに対するネガティブなイメージは大きかった。「すぐ死ぬって関連づけてしまったけど、違うと思って。悩んでいても結局、一緒やから」。病院での精密検査でステージ2の乳がんと正式に診断されても、結果を受け止めて治療に専念することにした。

 夫でお笑いコンビ・トライアングルの森直樹は優しく励ましてくれた。「落ち込んだんでしょうけど、『大丈夫やろ。今の医療やったら、イケるやろう。やれるだけ治療をやりな』と割と前向きに切り替えてくれて」。当時2歳の娘にも病気で抱っことかもできないと伝えると、何かを感じたのか、抱っこをせがむこともなくなった。母や近所に住む叔母のサポートもあった。「いなかったら、どうしていたやろう」と感謝している。

 産休で活動を休止した時はすんなりとOKしてくれた相方の関根には電話で伝えた。「あした死ぬんちゃうかみたいな感じで、すごく心配してくれてました」と驚いたようだったが、「今回も全然、大丈夫。心配なく、治療に専念してくれたらという感じでした」と後押しをしてくれた。芸人仲間からは神社にお参りに行ったと連絡をもらい、精神的に救われた。

 5月から半年間続けた抗がん剤治療は心身ともにきつかった。吐き気、全身のしびれ、倦怠感、口内炎、味覚障害…。「本当に戻れる気がしなかったです。メンタルが一番やられていた時期で、大丈夫?とか言われても、なんかイライラする感じでした」と振り返る。薬の副作用で抜けた毛髪も生えてきた。「すごいくせ毛になって…。私は別にいいんやけど、(周囲は)気になるよなと思って、ウィッグを着けています」。どういう髪形にするか迷っている。

 体験したことで、がんに対する考えに変化も生まれた。「強く思ったのが、がんになる前の自分が、どれだけ、がんに対してのイメージが悪かったのか気づいて」。SNSでは体験を踏まえた情報を発信している。「がんになっている方は、もう分かっているというか、頑張ってはるなと思うので、自分たちの芸人仲間であるとか、女性、男性問わずに伝えていきたい感じですね」。少しでも役立つことがあればと思っている。

 検診の重要さも訴える。「がんは早く見つけるのが多分、一番の治療やと思います。ならないという薬はないし、とりあえず見つけるというのが大切やなと。相方もそうなんですけど、なかなか行かない人が多いので。もし、がんに関するようなライブがあったら、検診を予約する時間を設けようかなと思っています」。イベントに関連づけての啓発活動も考えている。

 がんについて芸人としてどう向き合えばいいのか、自問自答している。「がんを笑いにしたいというか、難しいんですけど…。大きくがんのことをくくってしまうと、傷つく人はいますし、末期の方や亡くっている方もいらっしゃるので。タブーにせずに笑いに変えられたらいいなあとは思います」。自身の体験を交えながら、舞台からも伝えていきたいと思っている。

 ◆植山由美子(うえやま・ゆみこ) 1980年5月11日生まれ、44歳、大阪府出身。専門学校で出会った関根知佳(せきね・ちか)と2002年に松竹芸能養成所に入所、同年にコンビを結成。2004年に第25回ABCお笑い新人グランプリ新人賞、2006年に第27回ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞を受賞。乳がんの治療に専念するため2023年7月のブログで活動休止を発表、2024年7月のブログで8月からの活動再開を報告。家族は2020年4月に結婚した夫のお笑いコンビ・トライアングル森直樹と長女。

(よろず~ニュース・中江 寿)

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