神取忍“ミスター女子プロレス”還暦興行でまさかフォール負け「人生負けてから起き上がるんです」

全試合終了後に出場者と記念撮影を行う神取忍（中央左）、ダンプ松本（同右）ら＝東京ドームシティホール

 　〝ミスター女子プロレス〟神取忍（６０＝LLPW-X）の還暦記念興行「神取忍還暦祭り～人生もう1度、これからも真向勝負｣が１８日、東京・東京ドームシティホールで開催された。神取が３カウントを許す衝撃展開に会場がざわつく中、「人生負けてから起き上がるんです」と自身の信念を掲げてみせた。

　メインで神取は還暦ならではの赤いコスチューム姿で梅咲遥、水波綾と組み堀田祐美子、中森華子、なつぽい組と対戦。堀田への脇固め、中森への串刺しラリアット、なつぽいには裸絞めに捕獲してから振り回すなど持ち味全開のファイトを展開。しかし、水波のラリアット誤爆で隙を見せた一瞬に、中森に丸め込まれて１１分１５秒、まさかのフォール負け。自身が思い返せないという、久々となる３カウントを許した。

　予想外の出来事に会場がざわつく中、マイクを握った神取は納得のいかない様子だったが、間を置いて「負けちゃった」と潔く認めた。「人生負けてから起き上がるんです。還暦を迎える前も、デビュー戦も負けました。大箱も全部負けました。でもここから起き上がることを今までしてきました。皆さんも負けてもいいんです、ここから起き上がってください。そして６０、還暦は関係ないです。気持ちです。気持ちさえあれば上に向けていきます。皆さんも上を向いて歩いていただきたいと思います」とメッセージを届けた。

　神取は柔道で実績を残し、１９８６年にジャパン女子プロレスでデビュー。多くの名試合を残してきた。因縁の末にシュートマッチを戦ったジャッキー佐藤、ライバルの風間ルミは世を去った。対抗戦ブームでしのぎを削った北斗晶は引退して久しい。ボコボコにされた天龍源一郎との一騎打ちは今も多くのファンの記憶に残る。

　バックステージでは「負けちゃった。まさかまさかで期待を裏切るのが神取忍であるＬＬＰＷ-Ｘ。負けから物事は始まるので、初心を忘れるなってことだったのかな。けっこう大一番だと負けんだよ」とさわやかな表情の神取。還暦も「ピンとこなかった」と笑い飛ばし、今後については「思いのまま突き進む。ノープランだけど、時代に合わせてここまで来られた。体が動く限りはって感じ。ＬＬＰＷはさらに大きくなる」と語った。「プロレスラーとはいかにメッセージを送れるか」「道なきところに道を作るのがプロレスラー」とプロレスへの信念も明かしていた。

　この日は芸能界から寺田恵子、嶋大輔、綾小路翔、まちゃまちゃ、ブラザー・コーンらがリングに上がり、代表曲を歌うなどして、神取が「お祭りだから」と話す還暦イベントを盛り上げた。プロレスにとどまらない、神取の存在感を物語った。

（よろず～ニュース・山本 鋼平）