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能登半島地震から1年…演出家デビューする歌舞伎俳優・中村歌昇の思い3月に被災地で復興祈念公演

よろず~ニュース / 2025年1月1日 9時0分

能登半島地震から1年…演出家デビューする歌舞伎俳優・中村歌昇の思い3月に被災地で復興祈念公演

能登半島地震復興祈念公演「まつとおね」を演出する歌舞伎俳優の中村歌昇。舞台への思いを語った=都内

 2025年の幕が開け、元日で能登半島地震の発生から1年となった。今なお復興に向けて困難な状況が続く中、文化面での被災地への後押しの1つとして、3月5日-23日に石川県七尾市の能登演劇堂で「令和6年能登半島地震復興祈念公演『まつとおね』」が上演される。吉岡里帆と蓮佛美沙子が出演する二人芝居ということで注目される中、同作の演出に専念する歌舞伎俳優の四代目中村歌昇(35)がよろず~ニュースの取材に対し、この舞台への思いを語った。

 被災地を含む加賀の国を治めた戦国時代の武将・前田利家の正室「まつ」と豊臣秀吉の正室「おね」の物語。歌昇は「吉岡さんが『まつ』を、蓮佛さんが『おね』を演じます。『ねね』とも呼ばれますが、今作は『おね』です。この二人しか出ない芝居の演出をさせていただきます。演出家として演劇作品に携わるのは今回が初めてです」と紹介した。

 歌舞伎公演には演出家がおらず、出演者自らが演出を考えているという。5歳で初舞台を踏んで以来、その環境で育ってきた歌昇は「芝居で使う音楽をお願いして作ってもらったり、衣装、大道具、床山…と、歌舞伎の要素もエッセンスとして入れていきます。堅苦しいものにはならないように、時代劇の中に歌舞伎の面白さも入っています」と趣向を凝らす。

 会場の能登演劇堂は舞台の奥にある扉が開閉でき、背後にある自然と一体となった空間を楽しめることでも知られる。震災の被害を受けたが、来春の公演までに修繕される。

 歌昇は「被災地にも行って、現地の状況を目にしてきました。そのドキュメンタリーも作らせていただいたのですけど、なかなか復興が進まない中、9月には豪雨による水害もありました。七尾市は、まだ倒壊した建物がそのままであったりとか、食祭市場という大きな市場は海からの浸水で道路の地盤が割れて、そこから海水が湧き出していたり、道路もでこぼこして整備も進まないという状況もありました。同市にある劇場も震災によって照明や客席の天井が落ちるなどの被害があり、それらを急ピッチで治しています。修復状況は随時、連絡があり、プロの方に直していただくのを持っている状況です」と経緯を説明した。

 さらに、歌昇は「こういう経験を積み重ねていきたい。いま意欲がすごくあるので、情熱を持っていろんなことを吸収したい。そして、我々ができることは公演を通して能登の現地に足を運んでいただくこと。これを機に観光などで、もっと能登の良さを知っていただくことの一翼になればといいなという思いです」と語り、「ほんとに食べ物がおいしいんですよ。魚や貝に能登牛…。8月に行った時は太刀魚がすごくおいしかったです」と食の魅力も付け加えた。

 歌昇の思いは一つ。「劇場が復旧して、3月には能登の人たちに観ていただけるようになって、心安らぐ場になってほしい。舞台から何か希望や光みたいなことを見てもらって前を向けるような作品にしたいです」。年が明け、作業も本格化していく。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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