【経済産業省】嶋田元経産次官が岸田首相の筆頭秘書官に
財界オンライン / 2021年10月25日 15時0分
10月4日に発足した岸田文雄内閣では、首相秘書官人事も注目を集めた。岸田氏は筆頭首相秘書官に嶋田隆・元経済産業次官を起用した他、経産省から荒井勝喜・前商務情報政策局長を呼び込んだ。財務省からは宇波弘貴・前主計局次長ら2人の登用となった。
嶋田氏は故・与謝野馨・元財務相の秘書官を5回務め、同氏の財政規律論を熟知した人物。岸田氏が卒業した開成高校の後輩にも当たる。金融機関幹部は、嶋田氏の秘書官起用が、「岸田政権のマクロ経済政策を方向付ける可能性がある」とみる。
2016年に外相としてオバマ大統領(当時)の被爆地・広島訪問を実現させた岸田氏は「核不拡散、外交に優れた感覚を持ち、着地点の特定に長けている」(当時の米政府担当者)とされる。だが、経済財政、金融政策については「詳しくはない」(元財務官僚)との見方も根強い。岸田氏自身もその弱点を自覚しているとされるが、頼れるブレーン探しは難航していた。
嶋田氏は財政規律だけではなく、自らも対応に奔走した東電原発事故後のエネルギー政策にも強い信念を持つ。過度に楽観的な再生可能エネルギーには疑いを持っているとみられ、「原発再稼働を前提にエネルギー政策の再検討が進む可能性がある」(金融機関幹部)。
嶋田筆頭秘書官の両脇を固めるのが、同氏が経産省で重用した荒井氏と、財務省の宇波氏となる。荒井氏は安倍内閣、菅内閣時代に経産省の官房部門で新型コロナウイルス対応などの難題の調整に当たった。宇波氏は財務官僚として柔軟性が高く、嶋田氏、荒井氏との相性も良いとされる。
他の秘書官には、他に財務省出身の中山光輝・前内閣官房内閣審議官、外務省出身の中込正志内閣官房内閣審議官、警察庁の逢阪貴士・前会計課長も起用。防衛省出身の中嶋浩一郎氏が菅内閣から留任した。岸田氏の事務所秘書、山本高義氏が政務を担う。自民党有力議員は「極めてバランスの良いサポート体制が整った」とみる。
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