【農林水産省】新大臣に水産族の金子氏 コメ需給対策が喫緊の課題
財界オンライン / 2021年10月27日 15時0分
長崎県知事を務めた金子原二郎・参院議員(長崎県選出)が農林水産相に就任した。親族が水産会社を経営するなど、水産族議員の筆頭格として有名。10月31日に衆院選の投開票を控える中、喫緊の課題は、新型コロナウイルス感染拡大で消費が鈍って需給が緩んでいるコメ関連の対策を打ち出すことだ。
金子氏は1944年生まれの77歳。日本水産などを経て、長崎県議会議員(3期)、衆院議員(5期)、長崎県知事(3期)を歴任した。2010年に参院議員に初当選し、現在2期目。県知事を12年間在任しただけに、仕事ぶりは「安定感がある」(農水省幹部)とされる。ただ、金子氏は農水相就任の際、周辺に「農政はあまり詳しくない」と不安を口にしたという。
農政を取り巻く環境は年々厳しさを増している。特に主食用米の生産量は過剰となり、在庫が大きく増加。21年産米は20年産米に続き、価格が下落する可能性が高い。抜本的な在庫解消対策を求める声が日に日に強まっている。
農業が基幹産業の東北地方では、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)など自由貿易を推進する政府・与党への不信感が根強い。与党は近年の国政選挙で東北や信越で苦戦を強いられている。農家が安心して営農継続できるよう具体的な政策を打ち出せるか。金子農水相の手腕が早速問われている。
水産改革も重要課題だ。水産族として培ったパイプを生かし、魚種の資源保護に後ろ向きな漁業団体に対し、協力を強く求めることが欠かせない。
一方、農水相を退任した野上浩太郎氏は、退任会見で「農林水産業を強くし、美しく豊かな農山漁村を次世代に継承していくために全力を尽くす」と前を向いて語っていた。
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