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成長戦略と展望の見えない日本郵政、政府が株式を売却

財界オンライン / 2021年10月29日 7時0分

将来図が見えない日本郵政──。2007年の郵政民営化から14年。政府が日本郵政株の追加売却で保有比率を3分の1まで引き下げることを決めた。

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 完全民営化に向けたプロセスが表向きは進んだ形だが、日本郵政の完全子会社の日本郵便と、グループ金融2社(ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険)はビジネスモデルの転換が遅れ、まともな成長戦略を描けていないのが実情。

 日本郵便は郵便物取扱量の減少という逆風にさらされ続け、慢性的な赤字体質から脱却できていない。

 それでも経営が成り立ってきたのは、全国2万4000の郵便局を通じて業務を委託する金融2社から年間計8600億円超の「業務委託手数料」を受け取ってきたからだ。

 しかし、超低金利による運用難で収益が先細るゆうちょ銀や、不正契約問題の後遺症で新規加入者が落ち込むかんぽ生命からの補給金は今後、減らされることが予想され、日本郵便の経営はますます厳しくなるのは必至。

 さらに郵政民営化法は日本郵政に対して金融2社の株式売却を求めており、資本関係が希薄化すれば日本郵便に対する補給金が激減するリスクがある。

 日本郵政の増田氏は、この状況を受けて、中期経営計画「JPビジョン2025」で、郵便局を様々な企業が活用する「共創プラットフォーム」にする構想を表明。資本・業務提携した楽天の人材やノウハウも借りて郵便局のデジタル化を推進する方針を打ち出した。

 また、民営化の先達であるNTTやJR各社に倣って不動産開発事業を強化し、収益を倍増させる目標も掲げた。さらに、今年9月にはSGホールディングス傘下の佐川急便と小型荷物の宅配や国際荷物の輸送で協業すると発表。日本郵便の経営テコ入れを急いでいる。

 ただ、いずれの施策もどこまで収益向上につながるかは未知数。今年創業150年を迎えた日本郵政グループは、将来の生き残りの青写真を未だに描けていない。完全民営化に向けた経営のカジ取りは一層厳しくなっている。

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