【株価はどう動く?】新政権の政策次第で日本は年末高に
財界オンライン / 2021年11月3日 11時30分
解散総選挙の行方はどうなった?
私は以前から、2021年9月以降は政局で株価が上がると指摘してきましたが、その通りの展開となりました。
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自民党総裁選は本命・岸田文雄氏、対抗・河野太郎氏、穴・高市早苗氏と予想し、本命の岸田氏が当選しましたが、総裁選中、首相就任直後には株価が下落するという展開となりました。発足時の支持率も、菅義偉政権の末期よりは高かったものの、歴代で下から2位という出だし。
就任前後の日本の株安は「岸田ショック」などと言われましたが、日柄的に米国株が調整局面に入ったことによるもので、岸田首相誕生とは無関係です。
最初の関門は本誌発売時には結果が出ている総選挙ですが、私は岸田首相には勢いがあると見ています。
総裁選前には「決断ができない」という評もあった岸田首相でしたが、最初に立候補を表明し、実力者・二階俊博幹事長を外すことを念頭に置いた党改革案を打ち出しました。
勢いがある時には運も付いてきます。総裁選では1回目の投票ではわずか1票差で1位となり、決選投票では圧勝しました。
首相に就任するやいなや、刀を抜く手も見せずに解散総選挙に踏み切りました。その速さで、一時は台風の目になるのではないかと目された「ファーストの会」は候補者を擁立できず撤退を余儀なくされたほどです。
元々、自民党・与党は大苦戦が伝えられていました。選挙は一寸先は闇ですから、結果がどうなっているかはフタを開けてみるまでわかりませんが、当初予想よりも善戦するのではないかと予測しています。
ただし、コロナ禍の中での戦いで、自民党の重鎮の中には落選する人も出るでしょうから、この選挙を契機に世代交代する可能性があります。それを受けて、選挙後に新政権がどんな政策を打ち出してくるかで株価の行方が決まります。
選挙後、まずは各省庁に分散していたコロナ対策の司令塔をはっきりさせて、年内には収束の道筋を付けることが重要です。日本は欧米と違って、緊急事態宣言が解除されても国民が自主的にマスクを付けて生活していますし、今後も続けるでしょう。
来年にかけて、日本のコロナ感染者数は減少傾向が続くでしょうから、世界の中でも模範的なコロナ対策を実行した国と評価されるものと見ています。これは政権の支持率向上につながります。
甘利明幹事長は、岸田政権の2大政策として「DX革命」と「経済安全保障」を打ち出していますが、この実行は株価上昇につながります。
最近の多くのアナリストの年末の株価予想では、高く見る人で日経平均株価は3万2000円、弱気派は2万9000円でしたが、それは選挙前に超えています。自民党・与党が選挙で善戦し、新政権がDX革命などを前進させることが見えてくれば、次第に株高につながってきます。
早ければ年末年始に3万5000円を付ける可能性がありますし、そこまでいかなくても、大方の人が予想する3万円近辺を突破して年末高になるものと見ています。
ニューヨークダウの調整局面は終わった
海外要因を見ると、米国の株高は続いています。私はいつ調整局面が来てもおかしくないと指摘してきましたが、調整は終えたようです。8月16日の高値、3万5631ドルから調整局面に入り、9月20日の3万3613ドルまで2000ドル強下落し、整理が終わったという状況になっています。10月18日は3万5327ドルと、再び3万5000ドル台を回復しているのです。
日本では、デジタル関連株の上昇が見込まれることはもちろん、今後「イノベーション革命」が起きることが予想されますから、広範囲にイノベーション関連株の大相場が訪れることになり、日経平均は来年には、1989年末の3万8915円を目指す展開を予想しています。
海外要因では米国では11月にFRB(米連邦準備制度理事会)が量的緩和縮小(テーパリング)を打ち出すと見られており、実際に始まれば波乱要因となります。
ただ、テーパリングは延期される可能性もあると見ています。なぜなら、米国ではコロナはまだ収束しておらず、むしろ再び感染拡大の気配すら出ています。経済の実体悪から見て、簡単に量的緩和の縮小はできないでしょうし、利上げも難しいのではないかと思います。
多少の波乱はあっても、年末に向けて日米の株価は上昇し、年末高となる可能性が強いと見ています。株価が強い場合には日経平均は3万3000円を超え、ニューヨークダウは3万5000ドルの壁を突破して4万ドルを目指す展開になります。
もう1つの海外要因は中国です。不動産大手・恒大集団の経営破綻は避けられないと思いますが、グローバルマーケットへの影響はほぼないと言っていいでしょう。中国では、民間企業が何社潰れても、共産党政権は揺らぎません。むしろ習近平政権は不動産バブル、ITバブルを潰しにかかっている構図です。
欧米、中国では原油高で一部にインフレ懸念も出ていますが、今の相場には関係がないと思います。なぜなら、日本が典型ですが、世界経済はデフレ構造になっているからです。
ですから少々インフレになっても、それまで水風呂だったものがぬるま湯になる程度です。米国の長期金利は来年には2~3%になる可能性はありますが、この状況は米国だけです。日本の長期金利は目標である2%どころか1%になることも見えていませんし、欧州も同様です。
2022年は、日米ともに「イノベーションバブル」が本番を迎えることになります。そして資産インフレとなりますが、以前から指摘しているように、そこには「格差」が出ます。不動産ならば価値ある場所の価格しか上昇しない、「格差バブル」が訪れることになります。
【関連記事】【株価はどう動く?】米国株の下落を上回った日本株の下落、岸田政権は市場とどう対話するか?
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