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SOMPOケアが介護職員の年収を50万円引き上げへ

財界オンライン / 2021年11月8日 7時0分

岸田政権は「格差是正」に乗り出すが…
 SOMPOホールディングス(櫻田謙悟社長グループCEO=最高経営責任者)傘下の介護事業会社・SOMPOケアが介護職員の年収引き上げを進めている。

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 SOMPOグループでは2021年度から中期経営計画をスタートさせているが、その中で介護事業の処遇改善を織り込んでいた。「介護事業に参入した時から、処遇改善は経営の大きな課題だった」(SOMPOホールディングス関係者)。

 介護業界では慢性的な人手不足が続いている。少子高齢化でそれがさらに加速する恐れがある。足元のコロナ禍では感染のリスクに直面しながら、懸命に利用者を支える「エッセンシャルワーカー」(社会的に必要不可欠な仕事に携わる人達)とも言われてきた。そうした人達の処遇をいかに変え、担い手を増やすかは大きな問題だった。

 SOMPOケアでは22年4月から、現場のリーダー職である「ケアコンダクター」約1000人の年収を50万円程度引き上げる。それに伴う原資は約24億円だという。「介護施設で働く看護師並みに給与を引き上げることを目指している」(同)

 一方で、生産性を向上させなければ、給与引き上げのための原資は生まれない。SOMPOグループは「リアルデータ」の活用を掲げて事業構造転換を図っているが、SOMPOケアも同様。例えば、センサーを活用して利用者の状態を「見える化」し、介護職員の負担を減らしたり、より最適なケアを提供することを目指している。

 さらに、データ活用のノウハウを他の介護事業者に提供する事業も始めている。これによって業界全体の生産性を向上させることができれば、処遇改善につながることが期待される。

 岸田文雄政権は「格差是正」に向け、幅広い層の所得を向上させる「令和版所得倍増計画」を掲げる。中では介護士の処遇改善にも触れているが、介護保険制度全体の改革にもつながる話だけに問題は根深い。

 社会的に重要な仕事を担う介護士の処遇改善は緒に就いたばかり。SOMPOケアの動きが業界全体に波及するかが注目されている。

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