【厚生労働省】年金機構が通知書誤送付 一方で再発防止の道険しく
財界オンライン / 2021年11月11日 11時30分
日本年金機構は10月上旬、愛知県など3県の年金受給者約97万2000人に対し、別人の支払額や年金基礎番号を記載した振込通知書を発送していたと発表した。その後、和歌山、奈良両県でも同様のミスが判明。後藤茂之厚生労働相は一連の不祥事を受け、「国民の皆さまに不安を与え、誠に申し訳ない」と陳謝した。
誤送付があったのは愛知、三重、福岡の3県に発送した10月分の通知書だ。コールセンターに「通知書の内容が誤っている」といった問い合わせが寄せられたことで発覚した。印刷や発送を請け負った岐阜県の業者が宛名と中身を取り違えたことが原因で、3県以外でも和歌山、奈良両県で約3000件のミスがその後確認された。
機構幹部は「中身に氏名の記載はないため、個人は特定されず、被害情報は報告されていない」と説明するが、野党からは早速「年金に対する信頼が覆される事態」(枝野幸男立憲民主党代表)といった批判が相次いだ。
今回の件に対し、年金局幹部は「後藤大臣には就任早々頭を下げさせる事態になったことは本当に申し訳ない。二度と同じことが起こらないようしっかり機構を監督、指導する」と恐縮することしきりだ。
ただ、過去にも同様の不祥事やミスで厳しい批判にさらされてきただけに、省内には「年金というだけで政争の具にされやすい。今後の影響が心配」(中堅幹部)との懸念が払拭(ふっしょく)できないようだ。別局の幹部も「社会保険庁時代に比べたら改善しているかもしれないが、お粗末な話」と手厳しい。
今後は再発防止策をどう進めるかが課題になるが、機構内の体制見直や郵送方式の是非、委託業者に対するチェック体制も含め課題は多く、再発防止に向けた道のりは険しい。
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