『東芝』に会社分割案が浮上 事実上の“解体”が現実味
財界オンライン / 2021年11月16日 11時30分
東芝が会社全体をインフラ、デバイス、半導体の3社に分割し、数年後に上場させるという再建案が浮上している。
このような分割案が浮上してきたのは、大株主であるモノ言う株主(アクティビィスト)を意識したものだとみられる。各事業を分社化し、(多角化によって企業価値が割安になる)コングロマリット・ディスカウントを解消させる手法は、アクティビストの”常套手段”だからだ。
昨年の定時総会の運営を巡る問題や車谷暢昭社長(当時)の退任などで混乱していた中、今年4月から二度目の社長登板となったのが綱川智氏。前回の在任時にはアクティビストに対して「モノ言えぬ社長」と言われた綱川氏だけに、「今回もアクティビストの要求を跳ね返せなかったのだろう」(アナリスト)という声があがっている。
東芝は一連の経営危機で主要部門をすでに売却しているため、グローバルで戦える事業はPOS(販売時点情報管理)やエレベータなど小粒。同社最大の収益源が、株式公開を目指す半導体メモリー大手・キオクシアホールディングスの持ち株40%という寂しい現状だ。
事業の売却を進めてきた結果、東芝の売上規模(約3兆円)はピーク時の半分にも満たない。市場では「総合電機メーカーのプライドを捨て、ニッチな領域で小回りが利くメーカーになるのもひとつの手」(同)と指摘する声もある。
日立製作所は近年、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTを成長戦略の中核に据え、三菱電機はファクトリーオートメーション(FA)制御システムを重点成長事業に指定。今回の東芝を見ても、かつて総合電機メーカーと呼ばれた企業が日本から消えつつある。
東芝は「事業の分割についても選択肢のひとつとして検討しているのは事実ですが、本日(11月9日)時点で決定した事実はありません」とコメント。同社は11月12日にガバナンス強化委員会による調査報告と新中期経営計画を発表する予定だ。
経営者不在が続く東芝。日本を代表する電機メーカーの事実上の”解体”が現実味をいよいよ帯びてきた。
【ガバナンスを考える】企業と株主、そして社外役員と従業員のあるべき関係とは?
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