【またもや資源バブル?】資源高騰を背景に商社各社が最高益更新へ
財界オンライン / 2021年11月17日 11時30分
「連結純利益は、上期として絶好調の歴史的な決算となった。鉄鉱石の歴史的な高騰や一過性利益が集中した要因もあったが、足元の『か・け・ふ(稼ぐ・削る・防ぐ)』と地道な努力をコツコツと積み上げた結果であり、非常にバランスの良い業績拡大が実現できた」
伊藤忠商事社長の石井敬太氏はこう語る。
伊藤忠の2021年4―9月期の純利益は5006億円(前年同期比98・3%増)と過去最高益を更新した。鉄鉱石や石炭価格の上昇で金属部門が好調だった他、住生活、情報・金融、機械などの部門も好調で、全セグメントが増益。非資源事業のみでも過去最高益だった。
また、通期(22年3月期)の業績見通しを上方修正。純利益は、これまでの商社業界で過去最大となる7500億円(同86・8%)を見込んでいる。
また、通期業績(純利益ベース)を上方修正したのは、他社も同様。三菱商事は金属資源や自動車・モビリティ、LNG(液化天然ガス)関連部門が好調で、過去最高の7400億円(同328・9%増)となる見通し。
三井物産も金属資源や化学品、機械・インフラ部門が好調で、過去最高の7200億円(同114・6%増)となる見通しだ。
ここ数年、5000億円を基準に首位争いが繰り広げられてきた商社業界。資源価格の高騰で2022年3月期の決算は、7000億円台のハイレベルな戦いになりそう。ある商社幹部は「さすがに7000億円台というのは隔世の感がある。今は資源バブルになっているので、実力値と勘違いしないようにしないといけない」と語る。
こうした声が聞かれる背景にあるのは、すでに来期以降、資源価格が落ち着いた場合の反動減を懸念していることがある。各社首脳は資源価格が下落し、2016年3月期に三菱商事や三井物産が赤字に陥った”苦い過去”を忘れていないからだ。
その意味では、ボラティリティ(変動)の激しい資源事業に依存せず、非資源事業の育成は今も各社に共通した課題。商社業界にとっては、最高益を更新してもなお、緊張感のある経営が今後も続きそうだ。
【総合商社】伊藤忠や三菱商事が相次ぎ『水素』事業で協業
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