パソコン専門店の生きる道とは? 答える人 野島隆久・ピーシーデポコーポレーション社長
財界オンライン / 2021年11月18日 11時30分
安売り型、サービス型 どちらで生きるのか?
―― まずは1994年にパソコン専門店として独立したきっかけから話してくれますか。
野島 わたしはもともと父が経営する家電量販店ノジマにおりまして、現在のノジマ社長である野島廣司はわたしの兄です。
この頃、わたしは独立したいと考えていて、ずっと独立したら何を売ろうかと考えていました。当時はパソコンが普及し始めた頃で、これは面白いものが出てきたぞと思い、コンピューター屋になろうと決めました。
実はノジマが1994年に店頭公開しまして、それで親から退職の許可が出ました。94年12月に『PC DEPOT』1号店となる新横浜店をオープンし、たまたま、その直後に『Windows 95』が発売され、一気にパソコンブームが起こった。その意味では、運が良かったと思います。
―― なるほど。それでパソコン専門店をオープンしていったと。
野島 はい。現在は首都圏を中心に東北から九州まで約130店舗を展開しています。
もっとも、わたしは文系で、どちらかというと機械音痴でしたので、パソコンの扱いが分からない。だったら、わたしのようにパソコンの扱いに困っている人をサポートできるような体制が必要だろうと。そう考えて、気づいたらパソコンの販売だけでなく、技術のサポートや保守サービスなどに事業が拡大していったということです。
―― なるほど。顧客のニーズに対応していったら、自然にビジネスモデルが変わっていったと。
野島 ええ。とはいえ、現在も物販は4割強から5割くらいの比率があります。パソコンには買い替えサイクルもありますし、やはり、お客様のニーズをきちんと拾っていけば、まだまだ物販もサービスも両方伸ばしていけると思います。
―― 独立後の経営は順調に推移したんですか。
野島 ある程度は順調にいきました。当社はドミナント(集中出店)戦略を掲げていて、新横浜から始まり、神奈川、東京といった比較的近い地域に出店を重ねて行ったんですね。
ところが、2000年代に入って、わたしが考えたのは、これからインターネットがどんどん普及するにつれて、われわれはどのように生きるべきなのかと。一つは出店を重ねて、製品を安売りして生きていくのか。もう一つはサービスで生きるのかと。それで、わたしはサービスで生きようと考えまして、2006年に現在でいうサブスクリプション(定額課金)の事業モデルを始めました。
【ユニクロ】コロナ禍でも2期ぶりの最高益
約45万人の会員を武器に!
―― 当時はサブスクリプションという言葉はありませんでしたね。
野島 まったくないです。われわれは「月額会員制保守サービス」と言っていました。
当時、いろいろなデジタル機器が登場するようになって、パソコンの接続方法や修理に関する問い合わせや、エクセルやワードの使い方を教えてほしいといった問い合わせが多くなってきました。要するに、ちょこちょこした細かい問い合わせが多くなってきまして、その度にお客様から1千円ください、2千円くださいと言うのでは、お客様も大変だし、スタッフの負担も大きくなると。
そこで、お客様からの細かい要望や問い合わせにもしっかり対応できるようにと考え、定額で一定のお金をいただくようにしました。要は、ゴルフ場の会員と同じで、当社の会員ですから何回来てもいいと。ですから、わたしは月額保守サービスではなく、会員制にこだわりました。
そういうことで、2006年11月からパソコンの月額会員制保守サービスを本格展開するようになったのです。
―― ポイントはこの会員制なんですね。
野島 そうです。ただ、当初は月額会員制保守サービスと言っても、なかなか分かってもらえなくて、今でこそサブスクリプションと言えばイメージできるのかもしれませんが、当時はこうしたビジネスモデル自体が存在していませんでしたから、外部の方に説明するのが大変でした。
もちろん、日頃ご利用いただくお客様は理解してくれましたけど、それでも中にはPCデポの保険に入っていると勘違いしているような方もいらっしゃいまして、きちんと説明して、理解してもらうのに時間がかかりましたね。
―― そうやって考えると、全ての事業がつながってきますね。
野島 ええ。わたしはどれだけデジタル技術が発達しても、最後に残るのは人と人とをつなぐ仕事だと考えています。ですから、単にデジタル機器を修理するだけではなく、お客様の生活をデジタルによって豊かなものにすることが使命だと。
やはり、電器屋さんとも違う、また、携帯ショップとも違う、お客様にとってなくては困る存在でありたいと考えています。
『イオン』が100円ショップ【キャンドゥ】を子会社化へ
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
茂木 友三郎・日本生産性本部会長 キッコーマン取締役名誉会長取締役会議長「価格競争は避けるべき。品質やサービスでの非価格競争を!」
財界オンライン / 2024年6月19日 18時0分
-
カタログ持参の訪問販売がノジマの原点 1300店舗を展開【経済トレンド】
共同通信 / 2024年6月19日 7時3分
-
毎回4名で楽しめる、定額通い放題のサブスクフレンチ。会員制レストラ『Provision』が6月のマンスリーメニューを公開。
PR TIMES / 2024年6月17日 17時15分
-
はるやまの『ほっとひと息ステーション』が新潟県、鹿児島県に初出店!2店舗同時オープン!~サブスクリプションでカフェスペース、ワークスペース、リラクゼーションコーナーなど快適空間&サービスを提供~
PR TIMES / 2024年6月14日 16時15分
-
ジム会長兼社長・八木原保「原宿は日本の文化とファッションが融合した結果、様々な文化が生み出されました」
財界オンライン / 2024年6月5日 18時0分
ランキング
-
1ウイスキーが「おじさんのお酒」から激変したワケ 市場復活に導いたサントリーのハイボール秘話
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 8時20分
-
2意外な面倒さも? 財布いらずの「スマート支払い」、店側はどう思っているのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月30日 8時10分
-
3関東「気動車王国」の離れ小島路線が面白い! 不思議な“右ハンドル”車両 3駅の路線に“スゴイ密度”であるものとは?
乗りものニュース / 2024年6月29日 15時12分
-
4「押しボタン式信号」なぜ“押してすぐ青”にならないケースが? 納得の理由があった!
乗りものニュース / 2024年6月29日 16時42分
-
5上海の伊勢丹が営業終了、中国で日系百貨店の閉店相次ぐ…高島屋は売上高が減少傾向
読売新聞 / 2024年6月30日 20時56分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)