SMBC日興の「相場操縦」疑惑、証券監視委にとっても正念場
財界オンライン / 2021年11月25日 7時0分
SMBC日興証券の社員による相場操縦疑惑が浮上、証券取引等監視委員会(委員長・長谷川充弘元広島高検検事長)が強制調査に乗り出している。
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市場の公正さを保つ「門番」とも言える大手証券マンをターゲットにした前代未聞の案件だけに金融界に波紋を広げている。
監視委特別調査課は「調査しているか否かも回答しない」とし、日興側は「違法な取引はしていない」と反論している模様。
疑惑の背景は、上場企業の大株主らが持ち株を手放す際に、証券会社がいったん引き取り、時間外の相対取引で特定の投資家に転売する「ブロックオファー」。株価への影響を抑えられる利点があり、証券会社を通じて日常的に行われている。
大株主からの買い取り額と、投資家への売却額は取引を持ち掛けられた日の終値を基に算定されるのが一般的といい、今回は日興側が買い取り額が下がらないように、市場で対象銘柄の買い支えを行っていたのではないかとの疑いがもたれている。
ただし、過去に同種の取引を巡る株売買に相場操縦罪が適用された例はない。刑事責任まで問うには社員が不正を認識した上で故意に取引を行ったことを立証する必要があるためだ。業界では「最終的には行政処分である課徴金納付命令や業務改善命令を金融庁に勧告する措置に落ち着くのではないか」(大手証券幹部)との見方もある。
ただ、佐渡賢一前委員長が退任して以降、摘発・告発件数が減少した監視委は「鳴かずの番犬」とも批判されてきた。今回は異例の強硬姿勢に打って出た形だが、思惑通りに事件化できるか、正念場ともなりそうだ。
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