【わたしの一冊】『ザ・ラストマン 日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」』 川村 隆 著
財界オンライン / 2021年12月5日 11時30分
経営者は課題解決において「自分が最終意思決定者になる」という覚悟を
本書は2015年3月に出版されたものを加筆・再編集したものです。川村氏は日立の副社長から03年にグループ会社の会長に出られ、日立が7873億円の最終赤字を出した直後の09年に執行役会長として最終利益の過去最高を達成、11年〜14年に取締役会長を歴任された方です。本書は退任後、著者が何を大事にして改革を行ったかが書かれています。改革の施策と共に御自身の経営者としてのスタンスが書かれています。但、経営者でなくても、仕事に対するスタンスは若い人でも同じであれと述べています。
書名の「ザ・ラストマン」の意味は、課題解決において自分が最終意思決定者になる覚悟をした上で対処すると結果に結びつきやすいし、何より楽しめるということです。最近は経営者としてプロフェッショナルの要求が大変強くなってきていると共に、変化が激しいビジネスの現場でみな試行錯誤をしている。そのような時こそ、一つひとつの決断を自分で責任を持って下して、実行していくことの重要性が増していると述べています。
日本では企業が不祥事を起こすたびに、トップが集まって謝罪会見を開き、トップが「申し訳ありませんでした」と頭を下げるが、もちろん謝罪することは大切だが、それと「責任を取る」ということは大きく違う。本当は、そこに至るまでの過程とそこから先の方が重要であると述べています。問題が起きた原因を掘り出し、担当者の処分が必要なら処分し、再発防止をするべく体制やシステムを見直す。全力で問題解決のために立ち向かうことが肝要で、そのような事態を招かないように日頃から社員の教育に力を入れ、社内のシステムを構築しておく。
流れない水は腐る。「平時の構造改革」をすることが大事であると指摘し、日本ではそのような「ラストマン」がまだまだ少ないのが現状ではないかと述べています。経営者、これから経営者になる方が必読の一冊だと思います。
西浦 三郎 ヒューリック会長
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