【原材料高での価格戦略】PB価格据え置きのイオン 定番商品値下げの良品計画
財界オンライン / 2021年12月7日 11時30分
原材料高が続く中で、なかなか値上げに踏み切れないのが流通業界。
最大手のイオングループは、同社のPB(自主企画=プライベートブランド)商品の価格を、年内は据え置きにする考え。グループのイオンやイオンスタイル、ダイエー、まいばすけっとなど、全国約1万店舗で、スパゲッティやマヨネーズ、小麦粉などの食料品に関して、店頭表示価格を据え置く方針だ。
足元では原材料価格の高騰などにより、食品の値上げが相次いでいるが、同社では物流の効率化や一括仕入れなどの施策を通じて、合理的なコスト削減を実施。「生活防衛意識の高まりを受け、お客さまの生活を応援する」(同社)のが狙いだ。
『無印良品』を展開する良品計画も、9月から食品、生活雑貨、衣料品などの売れ筋商品を中心に約200品目の価格を改定。例えば、『素材を生かしたカレー キーマ』を290円から250円に、『綿パイルフェイスタオル・中厚手』は490円から290円に値下げ。素材の選択や工程の点検、包装の簡略化といった工夫を重ね、一部商品は従来価格の約半値となった。
ただでさえ、日本人の平均賃金は上がらず、昨年来のコロナ禍で消費者の不安心理が高まり、生活防衛意識が増大。また、非正規社員の増加など、構造的に企業の収益が給料に反映されないことや、社会保障の観点で将来的な不安もある。
そうした中での、原材料価格の高騰で「企業努力だけでは限界」と悲鳴を上げるメーカー各社に対し、流通業界ではライバル社へのけん制という意味合いも強く、「付加価値が上がっていなのに値上げなどできない」という声もある。
日本の課題は低価格原理主義からの脱皮。岸田政権も企業に賃上げを要請しており、賃上げを実現するためには製品価格を上げることで企業の利益を確保し、賃上げの原資をつくることが大事。長年、低価格原理主義に悩まされてきた日本。今また、その試練に直面している。
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