【新連載】丸和運輸機関・和佐見勝の「共に成長の輪をつくる!」(第1回)
財界オンライン / 2021年12月10日 18時0分
創業50年、「お客様第一義」を実践。今や我が国を代表する3PL企業に
『人縁良好』─。企業経営は人と人との縁で成り立つものであり、「同志を幸せにすることが永続する企業づくりの基本」という経営観。創業者・和佐見勝は1970年(昭和45年)、24歳の時、トラック1台で開業、裸一貫で物流業界に飛び込んだ。東証1部にも上場し、わが国を代表する3PL(物流一括請負)企業に丸和運輸機関を育てあげた。『お客様第一義』を掲げ、取引先をはじめとした〝顧客〟のニーズにすべて応えていくという姿勢が同社の成長を支える。時代の変化に対応し、フロンティア(新しい領域)を次々と開拓。小売業に特化した3PL戦略、eコマース(ネット通販)にも機敏に対応し、ラストワンマイルをはじめとする輸配送では『桃太郎便』を展開。創業50年を経て、コロナ危機下、増収増益を続ける経営の土台となる〝桃太郎文化〟とは。(敬称略)
やるべきことをやり 打つべき手を打つ!
「厳しい環境の今こそ、やるべきことをやり、打つべき手を打つ」──。
コロナ危機は、感染症のパンデミック(世界的大流行)を引き起こし、産業界や個人生活にまで多大な影響を与えた。2020年初頭から流行し、2年近くが経つ今、パンデミック収束の兆しも見られるが、まだまだ油断はできない。コロナ危機の真っ只中にあって、丸和運輸機関の創業者で社長の和佐見勝は、「やるべきことをやり、打つべき手を打っていこう」とグループ内に呼びかけてきた。
コロナ禍が押し寄せた20年度の決算、 21 年3月期は売上高1121億円強(前年同期比14%増)。営業利益 80 億円強(同11%強)と売上高、営業利益とも2ケタ増を果たした。 22 年3月期も増収増益を目論む。
eコマース関連で、コロナ危機下の巣ごもり需要が伸び、ラストワンマイル配送が増加。何より、ネット通販大手から受注する3PL業務も増加していることが業績を支えている。
3PL。サードパーティ・ロジスティクスの略で、物流業界の専門用語だが、最近では一般にも知られるようになってきた。物流を担う企業がメーカーなどの取引先に必要な物流業務を一括して請け負うことを言う。
メーカーや小売業などの企業にとって、変化の激しい今、効率的な物流ルートを確保できるかどうかは死活に関わる課題。
物流に必要な人員やトラックなど運送手段の確保、荷物を保管する倉庫・配送センターの整備、そしてそれら物流全体を動かすシステムづくりには相当な時間とコストが要求される。
そこで、こうした物流システムを丸ごと外部に委託する3PLという選択肢が産業界に広まったのは1990年代のこと。欧州が最初で、わが国でも90年代後半から急速に広まった。
こうした流れをいち早く取り入れたのが丸和運輸機関。和佐見は若い頃から、欧米の物流業界の最先端の動きを学ぼうと海外視察、研修にも注力した。
要は、海外で起きていることを見聞し、良い所は取り入れるにしても、ただ物真似をするというのではないということ。
日本でそれをどう工夫し、新しい知恵を考え出しながら、取引先に提案できるものにしていくことかが大事。和佐見が『お客様第一義』を掲げるのも、そうした経営を貫こうと考えているからである。
「自分たちの強みは何か? 」を和佐見は自問自答。そして、その強みを3PL事業の創出に求めた。「はい、わが社の強みは3PL事業という、荷主企業に代わって最も効率的な物流システムを構築する事業に特化している点にあります」。和佐見はこう語り、「その中でも、わが社は小売業の物流を専門としている会社です」と強調する。
ネット通販大手や大手ドラッグストアのマツモトキヨシHDの3PL業務の受託がそうだ。また、食品スーパーや生協(コープ)などの3PLも引き受け、関東エリアではコープみらいの個配も請け負うなど〝小売りに強い丸和運輸機関〟というイメージが定着。
おもてなしの心で提供する「桃太郎便」
ではなぜ、小売業の物流に特化したのか。
「それは、わたしが小売業の出身であるからです。その自分の強みを会社の強みにすることが一番大事だと思いました」
強みを磨きあげる同社の歩み。1970年の創業以来、『運送』から『物流』へ、次に『物流』から『ロジスティクス』へ、そして、『ロジスティクス』から『3PL』へと進化してきた同社の歴史である。
伝統の多角経営を進化【旭化成 ・小堀秀毅】の『3領域経営』と『GDP戦略』
以下、本誌にて
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