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「EVのコストをガソリン車と同等に」【日産】が新たな電動化戦略を発表

財界オンライン / 2021年12月15日 11時30分

電動化戦略を打ち出した日産自動車社長兼CEOの内田誠氏(右)とCOOのアシュワニ・グプタ氏

電動化で世界の潮流を掴めなかった日産自動車が新たな電動化戦略を打ち出した。

「EV(電気自動車)の車両コストをガソリン車と同等に引き下げ、本格普及につなげる」─。社長の内田誠氏は強調する。

 同社は2030年度までに世界で販売する新車のうち、EVとハイブリッド車(HV)を合わせた電動車の比率を5割に引き上げる。19年度の同社の世界販売台数が458万台であることから、約230万台を電動車にする計算になる。26年度までの5年間でEVの新型車の開発などに2兆円を投資。電動化技術や設備投資を含めて10年頃から累計で1兆円を投資に充ててきたことを勘案すると、日産の電動化に向けた「本気度はうかがえる」(関係者)。同社は22年1月にスポーツ多目的車(SUV)のEV「アリア」を販売する。

 日産にとってEVは、自社が「パイオニア」(幹部)という自負がある。現在販売中の小型EV「リーフ」は世界に先駆けて10年から量産型EVとして市場に投入してきたからだ。

 その結果、グローバルでの累計販売台数は50万台を突破しているが、米EV専業のテスラは年の世界販売台数が約50万台と、「10年間かけて築いた日産の販売台数を1年で抜き去ってしまった」(同)。

 日産としてはHVと比べて100万円以上高かったことや不十分な充電インフラ、短い航続距離、さらに「使い方によってはバッテリーの劣化が激しい」(ユーザー)といった技術的な課題などが背景にあったと見る。

 EVの生産原価の3~4割を占めるとされる電池のコストを下げるためにも、仏ルノーと三菱自動車とで組む3社連合での車載電池などを共通化してコストを低減。加えて、航続距離が大幅に伸びる「全固体電池」の実用化も「28年度まで」と具体的な時期を明言した。

 テスラや欧米勢、中国の新興メーカーがEVでは日本のメーカーよりも先行する。商品戦略で続々と新車を投入しているからだ。その中でEVの先駆者である日産が存在感を高めることができるか。消費者の目に適うクルマづくりが求められる。

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