【ユニクロ】柳井会長を直撃! 「あらゆる産業が情報サービス産業になる」
財界オンライン / 2021年12月23日 7時0分
一国だけではどこの国も成立しない
―― コロナ危機下にあっても、柳井さんは一貫して、グローバル化が大事だと主張しています。改めて、国と企業の関係をどう考えていますか。
柳井 これだけ経済がグローバル化しているわけですから、一国だけでは、もうどこの国も成立しません。世界最強の米国ですら一国では成り立たないし、あれだけ米中対立と言われている中で、2021年上半期に中国の米国への輸出額は前年同期比で約43%(ジェトロ調べ)増えています。
―― 貿易の実態は、それだけ密接に結びついているということですね。
柳井 ええ。とにかく、日本は何の資源もありません。これは日本の経済人は皆思っていると思うんですが、決して日本は世界的に見て有利な立地ではない。しかし、その中でも頑張っている企業や個人がいて、ほとんどの上場企業が正当な利益を上げて頑張っているわけです。
そのように人の努力だけで発展してきた国が、自国だけでやるとか、しかも、人がこれだけ減少している時代に、遅れた技術でやるというのは理解できません。
―― 米中対立と言っても、お互いに持ちつ持たれつの関係になっている状況です。
柳井 ええ。むしろ、日本は反対に国を閉じようとしていますよね。今の一部の動きを見ていると国産回帰のようにも見えますが、日本に資源が沢山あって、モノを輸入しなくて済むのであればいいですが、国を閉じてどうするんですか。
わたしはこれからインフレになると思っています。インフレになって、円安になり、給料が上がらずに、国産でやるとなったら、国民の生活は今よりもダウンすると思いますし、国というものが成り立たなくなると思いますね。
―― グローバルな経済活動があって、今の経済は成り立っている。実際に経済人は海外とつながっているわけですよね。
柳井 もう全部そうですよ。米中でもハイテク産業は全部つながっていますから。経済は全部つながっている。テスラも、マイクロソフトも、アップルも皆つながっていますよ。
【ユニクロ】コロナ禍でも2期ぶりの最高益
製造小売業から「情報製造小売業」への進化を
―― ユニクロの場合、早い時期から中国で事業を展開してきました。米中対立などがある中で今後、中国とはどういうスタンスで向き合っていきますか。
柳井 新聞を読んでも、本屋へ行っても今は反中の文字が躍っていますよね。皆さん、対立の構造で考えていて、反中をあおるようなメディアの動きです。ある代議士の話を聞いていても、戦争を前提にしたような話をしているんですが、わたしはそれはおかしいし、絶対に違うと思います。
やはり、日本も中国を必要としているし、中国も日本を必要としている。米中対立と言うけれども、米国も、中国も本気で戦争しようとは思ってないですよ。まず、日本がやるべきことは、日中友好とはいかないまでも、もっと交流の機会を増やして、正常な関係をつくることです。経済交流はすでにこれだけあるんですから、お互いになくなったら困るわけですよね。
問題なのは、経済はつながっているのに、日本は政治家が全くつながってない。でも、あなたの主義主張と国の安全とどちらが大事ですかと言いたい。国の安全を守るために戦争に勝とうとでもいうような、寝言みたいなことを言っているので、それは国民が損するだけだと強く言いたいと思います。
―― ビジネスをする上では、グローバル化で国境が無くなってきました。ファーストリテイリングは製造小売業から「情報製造小売業」への進化を図ろうとしていますが、今は製造業や小売業という境界も無くなってきたと考えていいですか。
柳井 ないです、全部一緒です。将来的には、それこそグーグルやアップル、アマゾンとか、中国のテンセントやアリババとか、そういうところと競争するようになると思います。いわゆる境界がないので、どこの国から競合相手が来るか、まったく分からないのが現状です。
というのも、あらゆる産業が情報サービス産業になると思いますし、すでになっている。
―― あらゆる産業が情報サービス産業になるというのは、具体的には?
柳井 技術はいくらでも売っていますし、ネット社会になって、タダで使えるものも沢山ありますよね。グーグルを使うのがタダであれば、グーグルに行って、どのように利用ができるか聞いたり、調べたりすればいいんです。結局、それをするか、しないかだけです。
【金融庁】米中の覇権争いを受け「経済安全保障室」を新設へ
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
在米中国企業が米国市場を悲観視する理由
Record China / 2024年7月10日 7時30分
-
学生時代に“寝太郎”と呼ばれた柳井正氏は、いかにしてユニクロを築いたのか
PHPオンライン衆知 / 2024年7月5日 12時0分
-
「ソクラテスの毒杯」から西洋哲学が始まった理由 グローバリズム批判は「高貴ないきがり」である
東洋経済オンライン / 2024年7月1日 11時0分
-
1つ390円、3つで990円…全国21カ所ある「ユニクロの花束」が、靴下とまったく同じ売り方をしている理由
プレジデントオンライン / 2024年6月26日 10時15分
-
茂木 友三郎・日本生産性本部会長 キッコーマン取締役名誉会長取締役会議長「価格競争は避けるべき。品質やサービスでの非価格競争を!」
財界オンライン / 2024年6月19日 18時0分
ランキング
-
1セルフレジで客が減る? 欧米で「セルフレジ撤去」の動き、日本はどう捉えるべきか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月18日 8時10分
-
2「レイバン」メーカー、人気ブランド「シュプリーム」を15億ドルで買収
ロイター / 2024年7月18日 8時34分
-
3マクドナルドが「ストローなしで飲めるフタ」試行 紙ストローの行方は...?広報「未定でございます」
J-CASTニュース / 2024年7月17日 12時55分
-
4東証、一時1000円近く下落 円高進行で輸出関連に売り
共同通信 / 2024年7月18日 11時58分
-
5永谷園、MBO成立=今秋にも上場廃止
時事通信 / 2024年7月17日 20時36分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)