【国土交通省】国際便予約停止を巡って混乱 希望者全員の帰国は困難か?
財界オンライン / 2021年12月27日 15時0分
国土交通省が11月末、日本に到着する国際便の予約を12月中は一律に停止するよう国内外の航空各社に要請し、海外在住者や航空業界関係者らに混乱が広がった。
同省は批判を受けて要請を直後に撤回し、各社は予約の受け付けを再開。しかし、1日当たり最大3500人とする入国制限が解除されたわけではなく、希望者全員が帰国できない懸念は依然残っている。
「日本に帰れなくなった。悲しい」「チケットを取るのが遅れたら帰れなくなるところだった」。予約停止要請が報道で明らかになった12月1日、ツイッターでは不安な心情を訴える在外邦人の投稿が相次いだ。
政府は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の発生を受けて、11月末に外国人の入国を原則停止し、1日当たりの入国者の上限を5000人から3500人に引き下げた。
国交省は、12月が例年需要が高い時期に当たることから、この基準を上回る可能性があると判断。12月中に日本に到着する国際便について新規予約受け付けを見合わせるよう航空各社に要請した。
これらの対応を担った同省航空局は、停止要請を「事務的な連絡」(幹部)と判断し、首相官邸や斉藤鉄夫国土交通相らに報告していなかった。
一方、有識者からは在外邦人の帰国を事実上ストップしてしまう行為は憲法が保障する「移動の自由」に抵触しかねないとの指摘も出され、岸田文雄首相が見直しを指示。2日には国交省が要請を撤回し、再び予約の受け付けが始まった。
同省は入国制限の枠を超えない範囲で旅客数が比較的少ない週や曜日を中心に在外邦人の帰国を認める考えだが、3500人という水準はコロナ流行前の需要を大きく下回るため、一部の人々が帰国を諦めざるを得ないケースも出てきそうだ。
斉藤国交相は一連の騒動について「これからは事前にしっかり相談したい」と述べ、今後は国民生活への影響が大きい事案については政府内の事前調整を徹底する考えを示している。
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