CASE時代の危機管理 【トヨタ】などを米特許管理会社が提訴
財界オンライン / 2021年12月27日 18時0分
自動車業界が直面するCASE(つながる・自動運転・シェアリング・電動化)。このうち電動化を巡る戦略が次々と打ち出される中、新たなリスクが浮き彫りになっている。
トヨタ自動車やホンダなどがインターネットと接続する通信機能を備えた「つながる車」で使用している車載通信部品が特許を侵害しているとして、米国の特許管理会社、インテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)が裁判所に提訴した。各社は係争解決に向けて多額の支払いを迫られる可能性もある。
IVはトヨタの「プリウス」や「レクサス」、ホンダの「アコード」や「オデッセイ」といった主力車種が権利を侵害していると指摘。同社はマイクロソフト出身の経営者や米国の弁護士などが集まって設立された会社で、自社で商品やサービスを作り出す会社ではない。
「米国の中小企業から特許を買い集め、それらを他社へライセンスし、その収入で利益を得るビジネスモデルの会社。特許を買い漁り、訴訟をちらつかせて和解金を稼いで収益を上げる」(関係者)企業として有名だ。
トヨタ関係者は「コメントできない」と語る。先ごろ日本製鉄からも訴訟を起こされているが、IVの訴訟は毛色が違う。日鉄の場合は自社で製造した特殊な電磁鋼板の特許を巡るものだ。その意味では、「トヨタやホンダは厄介な相手に目をつけられた」と業界関係者は語る。
ただ、トヨタをはじめ、「日本企業は総じて特許に関するマネージメントで強固な体制を築けていない」(アナリスト)という課題がある。また、自動車業界では部品などについて「サプライヤー同士で確認し合うもの」(自動車メーカー関係者)という習慣があることも一因だ。
業界の垣根を超えるCASEでは、その習慣も見直す必要があるだけに、CASE時代ならではの危機管理体制の構築が求められる。
欧米に出遅れ気味の電動化対応 【トヨタ】が初の量産EV投入へ
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