どうなる? 日本のエネルギー② 大田勝幸・ENEOS社長を直撃!
財界オンライン / 2021年12月28日 11時30分
合成燃料と水素の開発は使命
―― ENEOSホールディングス社長の大田勝幸さん、足元では天然ガスや原油の価格高騰が続いていますね。
大田 はい。原油価格は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年4月に史上初めてマイナスを付けるなど一時は大きく混乱しました。その1年半後に1㌭=80㌦台まで上昇するとは誰も想像できなかったことだと思います。
これは世界経済の再開により石油需要が回復したことと、供給サイドの産油国が増産に慎重な態度を続けていることによるとみています。各国の思惑は様々でしょうが、経済回復に水を差すことになるのは困ります。また、中長期的には、脱炭素の流れが加速する中、上流事業の開発や投資が行いにくくなり、価格が高止まりする懸念があります。
―― 中長期の視点と当面の問題、エネルギーの移行期をいかにつなぐかということですね。
大田 われわれは石油やガスという経済活動に必要なエネルギーを扱っていますので、安定供給に対する責任を人一倍大きく持っています。一方、現在は環境配慮型のビジネスが求められていますので、当社もカーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)の実現に向けて、再生可能エネルギーや水素などの次世代エネルギーの開発を進めています。
従来は脱炭素というと、企業の成長の制約条件になる、コストが増える、などと言われましたが、今はそういう時代ではありません。新しいエネルギーが求められているということは、大きなビジネスチャンスでもあるととらえ、大胆に投資もしていきたいと考えています。
―― その一つの事例が、再エネ事業専業のジャパン・リニューアブル・エナジーの2千億円での買収を決めたことですね。
大田 はい。当社にとっては思いきった投資です。ただ、単に再エネ電源を持てばいいということではありません。再エネは天候により発電量の変動が激しいので、これを調整し、安定的かつ効率的に電気を供給するための蓄電池や水素エネルギーの開発が必要です。
特に、当社が昔から関心を持って取り組んできた水素は大きな役割を果たすと考えています。海外で安価で大量に製造したクリーンな水素を安全に日本へ運ぶサプライチェーン(供給網)を構築する取り組みを進めているところです。
また、再エネ由来の水素とCO2(二酸化炭素)を原料とした「再エネ合成燃料」の研究開発にも取り組んでいます。この燃料は石油製品と成分が類似しており、既存の製油所設備や確立されている流通経路の活用が可能であることから、普及における社会全体としてのコストが少なく国民の負担を抑えられます。再エネ合成燃料と水素の開発は自分たちの使命として力を入れていきたいと考えています。
【巨額買収】『ENEOS』が再エネ専業JREを2000億円で買収
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