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元東大総長・小宮山宏が語る『若者へのメッセージ』

財界オンライン / 2021年12月29日 18時0分

ベンチャーと大企業で新産業創出を!

 ―― 三菱総合研究所理事長の小宮山宏さん、コロナ、気候変動、国と国との対立など地球規模で問題が山積する中、こうした現状をどう考えますか。

 小宮山 20年、30年前ですと、学者の中でも温暖化は嘘じゃないかと言う人も結構いましたが、今はこのまま行くと本当に大変なんだと。ただ、現状を変えるのは非常に大変だということです。

 コロナもそうですが、バックキャスティング(未来起点)で色んなところに偏在・局在している知識をうまく集めてコンバインすれば、今問題になっていることはすべて解決できる。

 それで、わたしはベンチャーが鍵だと思う。今、ベンチャーの数が急激に増えてきて、その重要性を認識して資金を出す人も増えている。ベンチャーがユニコーンに育ってもいいし、大企業が買ってもいいんですよ。

 例えば、ユニコーンのプリファード・ネットワークスとENEOSが51対49で出資して合弁会社をつくって、分子を原子レベルでシミュレートする材料探索クラウドサービスを始めました。これは、今まで数カ月かかっていた計算を数秒でできる技術です。こうしてベンチャーが鍵となって、新しい産業が生まれていけばいい。

 新型コロナのワクチンも、ビオンテックだけでは駄目で、大量生産技術を持っているファイザーと組んだから実用化できた。大企業とベンチャーとの掛け算で実現できたわけです。

 ── 元東大総長でもある小宮山さんですが、若者へのメッセージをお願いします。

 小宮山 若者は、本来燃えるものを持っているんです。だけど、日本の教育が出る杭は打つだから、ちょっと変わっているだけで打たれると。でも、日本で「変わっている子」なんて、アメリカへ行ったら全然変わってないですよ。海外には、イーロン・マスクやスティーブ・ジョブズのような人物がいますから。日本だったら「どうしようもないやつ」と言われますが、そういう人が世の中を変えていくわけです。

 その意味では、若い時代に、無理やりにでも海外を見せることが大事なのではないでしょうか。わたしもあと2年東大総長をやれたら、ブランチキャンパスをつくりたかった。キャンパスといっても、物理的につくらなくてもよくて、カリフォルニア大学の10のキャンパスと100人ずつぐらいで契約して、単位を交換しながら学生を送り出すと。東大は1学年3000人ですから、1000人外に出せれば変わると思う。外に出して、若い人たちに違うものを見せないといけないと思います。

三菱総研理事長・小宮山 宏の「有事への対応は『自律 ・分散・協調』体制で」

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