『2022年を大胆予測』特別インタビュー 柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長
財界オンライン / 2022年1月2日 7時0分
いろいろな国のヒト・モノ・カネ・情報を活用して商売を
―― ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さん、すでに店舗数は国内より海外の方が多いわけですが、今後も海外展開は進めていくんですね。
柳井 もちろんです。われわれは国境がないように考えて仕事をしようと思っています。やはり、情報や人というのは国境を越えて行き来しているので、いろいろな国のヒト・モノ・カネ・情報を活用して商売をしていこうと考えています。
―― それが製造小売業から情報製造小売業への転身ということにつながってきますか。
柳井 ええ。やはり、当社はもともと山口・宇部から出発した会社ですので、成長を求めるなら外に出るしかなかったんです。その延長線上で世界に出て行ったということと、たまたま扱っていた商品が服だったので、世界中の人が必要とするものだったということもあります。
われわれは東京に出てくるまでに30年かかりましたが、海外へ行くのは3年でした。だから、ビジネスチャンスがあったら、どんどん外に出て行って、そこで商売をしていくことが大事なのだと思います。
―― そこら辺は国境を越えて信頼できる人たちと手と組んできたということですが、素材開発における東レとの提携など、パートナー選びで留意していることは何ですか。
柳井 やはり世界に出ていこうと思ったら、原材料で勝っていかない限り勝てませんからね。服というのは不思議なもので、色やデザインで勝負しているようになりがちなんですが、他の人たちと違った素材が無ければ世界に出ていけません。
東レさんは世界で一番繊維に詳しくて、こっちも言いたい放題だし、向こうも出来ないものはできないということで、お互いに意見を出し合って、より良いものをつくっていく。そういうことを突破していかない限り、進歩はないと思います。
結局、企業も人だし、相手も人なんですよ。だから、信頼できる相手を見つけることができるかどうか。もしも、そういう人たちがいないのであれば、自分たち単独でやった方がいいと思います。
―― それは中国の提携先企業を見つける時も同じですか。
柳井 ええ。わたしは取引を始める時に、全ての経営者に言うんですが、提携するということは結婚するのと一緒で、ダメな人とは組まないと。お互いに信頼関係があれば、運命共同体として、お互いに成長できる相手と組んでいくべきです。
ですから、中国の取引先企業の中には大金持ちになった人もいますし、あれだけ人口が多い国ですからね。場所も日本と中国は非常に近いし、無駄に対立だけを煽るようなことは止めてほしいと思います。
『アパレル最前線』ジーユー・柚木治が手掛ける「ジェンダーレス・エイジレス」戦略
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