【経済産業省】日米、通商枠組み新設 対中念頭に経済連携強化
財界オンライン / 2022年1月19日 11時30分
日米両政府は、自由貿易や経済連携について協議する「日米通商協力枠組み」を新設した。対中国を念頭にインド太平洋地域での経済秩序づくりを進め、通商ルールを主導する。
米通商代表部(USTR)のタイ代表が訪日した際、両政府が枠組みの設置で合意した。経済産業省、外務省、USTRの局長級幹部で参加し、今年の早い段階で初会合を開く見込み。バイデン大統領が提唱しているインド太平洋地域での新たな経済枠組みが議題となりそうだ。
米国はトランプ政権下の2017年、環太平洋連携協定(TPP)を一方的に離脱。この間、中国がTPPに加入申請するなどインド太平洋地域での影響力を強める半面、米国は「貿易的に孤立」(経済官庁幹部)した状態に陥った。
米国がインド太平洋地域への関与を強める足がかりとして通商協力枠組みが新設された。枠組みでは、世界的に不足する半導体のサプライチェーン(供給網)強化や、中国による国有企業への優遇策で競争環境がゆがめられている問題への対応策を協議する方針。20年に発効した日米貿易協定の最大の焦点である日本車の関税撤廃に関する「第2段階」の交渉は、「この枠組みでは行わない」(政府関係者)という。これに対し、与党幹部は「言うべきことははっきりと言うべきだ」と語気を強める。
議題は今後詰めるが、枠組みが軌道に乗るかどうかは不透明。タイ氏と同時期に別々に来日したレモンド商務長官は半導体の供給網構築などが重要議題と主張した一方、タイ氏は個別の話に触れず「これはUSTRの仕事だ」と言い放ったとされる。問題の本質が置き去りにされ、米国の省益争いが勃発する可能性がある。
日本の姿勢は受け身で、米国に積極的に提言している形跡がない。元経産省幹部は「官邸主導政治の弊害。政治家から指示がなければ役人が動かなくなっている」と苦言を呈している。
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