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丸和運輸機関・和佐見勝の「共に成長の輪をつくる!」(第4回)

財界オンライン / 2022年1月14日 18時0分

今秋BCP委員会が全国6支部で初会合

阪神・淡路大震災のときはどう動いたのか?

 1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の時、丸和運輸機関はどう動いたのか?

 この時、同社は取引先の大手清掃用品レンタル会社の阪神エリアの関係先に救援物資などを運ぶことになった。

 しかし、当の阪神エリアは震災直後で大混乱の真っ只中。そこで、同社はあらゆる物資を関東で買い付け、関東からそのレンタル会社の関西にある拠点に救援物資を届けることにした。

 この救援物資の輸送について、「料金はいただいていません」と社長の和佐見勝。つまり、丸和運輸機関がその運賃を負担して、救護物資を届けたのである。前述の〝無償の社会貢献〟による支援活動ということになる。

 救援物資の中身はといえば、ブルーシート、食料品、水といった緊急に必要なものから、充電器、ガスコンロ、下着・肌着、生理用品など多岐にわたる生活用品で、まさに被災地の住民にとっては必需品ばかり。

 同社はこの時、地元である関東圏の取引先等のルートを駆使し、物資を調達した。それを関東から関西へ届けるための輸送代や現地での対応に協力する費用は丸和運輸機関が負担したということ。

 こうしたやり方は、大震災など自然災害が頻発している折、一企業の負担にしては限度があるということである。しかし、有事(非常事態)になった時、こうした救援物資を被災地に届ける輸送インフラは絶対に必要である。サステナブル(持続可能)な輸送インフラ網をつくるにはどうすればいいか――という和佐見の問題意識である。


和佐見勝・丸和運輸機関社長

 全国のトラック運送事業者は約6万2000社。小規模の事業者も多い。そこで皆で協力し合い、ネットワークをつくり、全体の力で社会的課題を解決していこうという趣旨で構築されたのが『AZ―COM丸和・支援ネットワーク』(AZ―COMネット)。

 現在、参加企業数は1660社だが、和佐見は「将来は、2030年までに5千社、40年には1万社にし、BCP委員会の支部を全国で12支部、委員300人にしたい。そして大規模災害支援に強い組織を目指す」と言う。『AZ―COMネット』は全国規模のネットワークだから、「ある地域が災害に遭っても、他の非被災地の会員から支援を得ることができる」というメリットがある。

 有事には、救援物資輸送に当たるトラックや燃料の確保から、物資の保管・管理・仕分けなどが緊急に求められる。こうした作業も、平時のネットワークの業務の延長線上で対応できるということである。

 すでに大手コンビニエンスストアとは、「大規模災害時における支援活動に関する協定」を締結。コンビニは今や重要な生活インフラだ。2018年に起きた北海道胆振東部地震の際、道内の約2000店舗の物流がストップしたという苦い経験がコンビニ業界にはある。

 そうした経験を踏まえ、コンビニ各社もBCP、つまり事業継続計画は大変重要な経営テーマとして取り組んでいる。そして、輸送を担う『AZ―COMネット』の傘下企業もそれを自らのBCPに取り込んでいるということでもある。

丸和運輸機関・和佐見勝の「共に成長の輪をつくる!」(第3回)

以下、本誌にて

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