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岸田政権は「新しい資本主義」の実現を目指せ【人気エコノミストの提言】

財界オンライン / 2022年1月16日 11時0分

2021年は激動の1年であった。

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 2021年9月29日に実施された自民党総裁選では、岸田文雄・元自民党政務調査会長が勝利を収め、10月4日には、岸田政権が誕生した。

 岸田政権は、新型コロナ対策に万全を期すと共に、「新しい資本主義」の実現を重点政策の一つに掲げている。成長を目指すことは極めて重要だとする一方で、「分配なくして次の成長なし」として「成長と分配の好循環」の実現を目指す方針である。

 筆者は、現在、グローバルな資本主義には、数百年単位の時間軸で捉えるべき構造変化が起きつつあると考えている。2000年代に入り加速した、株主の短期的な利益だけを過度に重視する「グローバル資本主義」は大きな転換点を迎え、今後、より中長期的に持続可能性が高い、従業員や地域社会など様々な関係者にバランス良く目配りした「ステークホルダー資本主義」が主流になるとみられる。

 過去数百年間の資本主義の発展段階は4つに分けられる。1970年代末ごろから、資本主義は第3ステージに入っている。ここでは、資本家の短期的な利益が過度に重視され、労働者は厳しい立場に追い込まれた。

 2000年代に入ると、いわゆる「グローバル資本主義」が隆盛を極めたことで、「資本重視」の流れがより一層加速した。

 しかしながら、今後、資本主義は第4ステージに入るとみられる。様々な関係者にバランス良く目配りした「ステークホルダー資本主義」の時代が到来するのだ。

 他方で、日本経済が抱える問題点を資金フロー面から整理すると、①成長の不足(=企業の稼ぐ力が弱い)、②交易条件悪化による海外への所得流出、③社会保険料の増加(→可処分所得の低迷)、④若年層を中心とする将来不安(→消費性向の低迷)、⑤企業部門内での資金の滞留(投資低迷)、の5つが指摘できる。

 これらの問題点の解決に向けた処方箋として、まず、成長力の強化や交易条件の改善に向けた取り組みを加速させる必要がある。

 また、働き手の可処分所得を引き上げ、将来不安を払拭するための全世代型社会保障改革は喫緊の課題であり、セーフティネットの再編や子育て支援の強化も重要である。

 さらに、カーボンニュートラルと経済成長を両立させるマクロ経済シナリオの構築や、中期的な財政フレームワークを盛り込んだ「グリーン・デジタル国土総合計画」の策定を通じて、民間企業の予見可能性を向上させることなども望まれよう。

 2022年は、岸田政権の真価が問われる1年になりそうだ。

 岸田総理には、自由闊達な議論を通じて、日本の未来について長期的、多面的、そして根本的に考察した上で、わが国が進むべき道筋を国民に提示してほしい。

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