「悪い物価上昇」への懸念がある中、日銀の金融政策運営は一段と難しく
財界オンライン / 2022年1月23日 11時0分
地銀支援策は早くも実質的に縮小
日銀が2021年春に始めたばかりの地銀支援策の実質的な縮小を決め、金融界から顰蹙を買った。地銀や信金が再編や経費削減に取り組めば、日銀に預ける当座預金の金利を最大3年間上乗せする内容だが、22年度から上乗せ金利の付与額に上限を設ける。
【あわせて読みたい】【経営者のノーベル賞】令和3年度「財界賞」はYoutubeライブでオンライン配信
「地域経済を支える取り組みを後押しする」(黒田東彦総裁)と喧伝していたが、新型コロナウイルス禍に伴う融資の急増で地銀などが日銀に預ける当座預金が膨張。支払額が当初想定を大幅に上回る見通しとなった上、マイナス金利政策の安定運用にも支障を生じる恐れが出たため「戦線を縮小した」(企画局幹部)。
黒田総裁ら執行部には、この制度で異次元緩和策の長期化に伴う地銀経営の打撃を「埋め合わせる」ことでマイナス金利の深掘りなど追加緩和の余地を広げたい思惑もあっただけに誤算だろう。
事実、この1年で金融政策を巡る環境は様変わりした。インフレ圧力が高まり、FRB(米連邦準備理事会)は21年12月、コロナ対応の量的緩和を前倒しで縮小することを決定し、22年に3度の利上げに向かう方針を示した。
英イングランド銀行は12月に主要中銀で初めて利上げに踏み切ったほか、欧州中央銀行(ECB)もコロナ対応の量的緩和を22年3月で終える方針だ。
黒田総裁は「欧米のようになる可能性はまずない」と静観する姿勢を示しているが、資源価格高騰や世界的なコロナ禍からの景気回復、物流網の逼迫などを背景として物価高の波は日本にも及んでいる。
国内経済の停滞で企業の賃上げが進まない中、円安進行による輸入コスト増加分が商品価格に幅広く転嫁される「悪い物価上昇」が現実になれば、個人消費を一段と冷え込ませる「負のスパイラル」に陥りかねない。
金融政策の正常化に乗り遅れた日本と欧米との金利差拡大による円安進行も予想される中、日銀は国内景気の停滞下の「悪い物価上昇」にどう対応するのか。22年の金融政策運営は一段と難しくなりそうだ。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
焦点:日銀、追加利上げは急がず 米景気・利下げなど注視
ロイター / 2024年9月13日 16時10分
-
追加利上げで株価暴落招いた日銀、9月以降の金融政策の行方は?
財界オンライン / 2024年9月5日 11時30分
-
日銀、金利引上げ後のコメントで株式相場が暴落 自ら政策を縛りかねない結果に! (1)
財経新聞 / 2024年8月25日 15時27分
-
日経平均株価「史上最大の暴落」は「秋からはじまる株価上昇」の予兆!?…今後の日本株式に期待できるこれだけの根拠【経済の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月24日 9時15分
-
緊張感持ち市場注視、物価目標実現の確度高まれば緩和度合い調整=日銀総裁
ロイター / 2024年8月23日 12時26分
ランキング
-
1日系企業、社員の一時帰国容認も=邦人に募る不安―中国・男児襲撃事件
時事通信 / 2024年9月19日 21時1分
-
2高齢者のダイエットは危険!実は寿命を削ってしまう可能性もあることが判明
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月19日 11時0分
-
3為替相場 20日(日本時間 6時)
共同通信 / 2024年9月20日 6時0分
-
4マイナ保険証では"大損"する人が続出…廃止される健康保険証だけに記載された最重要情報で医療費は雲泥の差
プレジデントオンライン / 2024年9月19日 10時15分
-
5ローソン、107円になる「長すぎるパン」を発売 「大きすぎるパン」も KDDIと共同開発した背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月19日 16時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください