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【財務省】大臣が「放漫財政」に警鐘  “掛け声倒れ”の懸念も

財界オンライン / 2022年2月3日 15時0分

鈴木俊一財務相が新年早々、放漫財政への警鐘を鳴らした。1月7日、財務省の新年の挨拶で鈴木氏は「ちょうど40年前、父の内閣で組織された1982年度(当初予算)と2022年度(当初)予算案を比較してみたい」と述べ、父・鈴木善幸元首相時代と現在の国債残高に言及。国内総生産(GDP)は40年間で1・9倍に増えた一方、国債残高は82年度末の96兆円から22年度末の1026兆円へと「実に10倍以上になった」と指摘。現在の財政状況は、将来の国の繁栄にとって「最大のリスク要因」として財政再建は「必要不可欠」と訴えた。

 ただ、夏に参院選を控え、鈴木氏の”掛け声倒れ”に終わる懸念は根強い。鈴木氏の財務相就任初の予算編成になった22年度当初予算案は過去最大の107兆6千億円に膨み、新たに国債発行額は37兆円にのぼる。

 岸田文雄首相は14日の経済財政諮問会議で25年度の基礎的財政収支の黒字化目標の維持を表明した一方、「経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」とも述べ、財政再建より経済の立て直しを優先させる姿勢を改めて強調した。

 さらに、財政をめぐっては自民党内で政局の火種になりつつある。党内最大派閥を率いる安倍晋三元首相に近く、積極財政の旗を振る高市早苗政調会長は岸田首相と「ほとんど没交流」(閣僚経験者)なのは永田町・霞が関では公然の事実だ。

 気脈を通じる前財務相の麻生太郎副総裁が党内ににらみをきかせていることもあり、鈴木氏は「党内の動きには我関せず」(財務省幹部)の姿勢を貫いているが、参院選の公約づくりで首相と高市氏の溝が深まる懸念もある。財政に関する党内動向に詳しい財務省幹部は「大物が多くて調整が大変」とこぼす。

 参院選に勝利し、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着けば、財政再建を前進させる環境は整う。鈴木氏の出番は案外近いかもしれない。

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