【国土交通省】観光業界で相次ぐ公金不正受給、「Go To」再開に影
財界オンライン / 2022年2月5日 15時0分
昨年秋から年末にかけ、観光業界で公金不正受給の事例が相次いだ。同業界は新型コロナウイルスの感染拡大で需要の急減に直面し、国民負担を伴う政府の旅行需要喚起策「Go To トラベル」などの支援を受けている。一連の不祥事で業界のイメージが低下すれば、Go To事業の再開などに有権者の理解が得にくくなる懸念もあり、国土交通省や業界は態勢の立て直しを急ぐ。
昨年11月、旅行代理店のワールド航空サービス(東京)で、雇用維持に協力した企業に国が支給する雇用調整助成金(雇調金)を不正に受給していた疑いが発覚した。当時、同社トップの菊間潤吾氏が全国の旅行会社でつくる日本旅行業協会の会長を務めていたことから大きく報じられ、同社は直ちに外部弁護士らの調査委員会を設置し、事実関係の解明に取り組んだ。
調査の結果、雇調金の対象とされた休業中の社員の一部が実際は出勤していた可能性があり、受け取った総額の4割近い約1億7800万円について不正受給の疑いがあることが判明。菊間氏は旅行業協会会長を辞任し、ワールド航空の代表も辞任。
同12月には旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社2社と東京都内のホテル運営会社が、宿泊実態のない利用について不正にトラベル事業の給付金やクーポンを受け取った疑惑が浮上。HISが設置した調査委によると、不正受給の総額は6億8300万円に上る可能性があり、HISは澤田秀雄会長兼社長らの報酬減額や子会社社長の解任といった対応に追われた。
斉藤鉄夫国土交通相はいずれのケースでも「不正受給はあってはならない」と再発防止に全力を挙げる考えを強調。とりわけHIS子会社の事例では、故意による不正の疑いもあることから刑事告訴も視野に厳しく対応する方針だ。
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