東証1部企業の8割が、最上位市場「プライム」に移行する理由
財界オンライン / 2022年1月31日 11時30分
今年4月からの東京証券取引所(山道裕己社長)の市場再編を巡り、現在の1部上場企業の約8割(1841社)が再編後の最上位となる「プライム」に移行する。
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従来の4市場を、グローバル企業を中心とした「プライム」、国内を中心に事業展開する「スタンダード」、有力ベンチャーなど高い成長が期待できる「グロース」の3市場に括り直す。
1部上場のうち地銀や地方の中堅企業など340社超は「経営資源を本業に集中したい」などとしてスタンダードに移行。中には、大正製薬ホールディングスやエバラ食品工業などのようにプライム基準をクリアしているにもかかわらず、あえてスタンダードを選んだ企業もある。
逆に、足元で上場基準を満たしていない1部企業296社は「適合計画書」を提出し、経過措置の適用を受けてプライムに移行する道を選んだ。東証は基準達成の期限を定めておらず、この結果、1部企業の約8割がプライム企業となり、当初の目的だった優良企業の絞り込みは事実上先送りされた形。
市場では経過措置を適用してプライムに残留した企業の選別が始まっている。適合計画書を投資家が評価し、経営改善策の中身が薄い企業の株は売られている。実際、三菱グループ系の化学関連商社、明和産業など株価を大きく上げる企業がある一方、ゲームサービス事業のマイネットなど早期の基準達成が難しいと見做された企業の株価は大幅に下げている。
今後の焦点は上場基準の達成期限をいつにするか。期限が定まれば、無理をしてプライムに残留した企業は上場廃止リスクにさらされることになる。
東証1部企業がこの10年で約3割増えたのと対照的に、米国では最上位企業が90年代後半のピークから約4割も減少している。新陳代謝を促すメカニズムが米株式市場を活性化させ、世界一の座を死守する原動力となっている。
東証の復活には、プライムの絞り込みだけでなく、ベンチャー企業中心のグロース市場に国内外からリスクマネーを呼び込むことも大きな課題となる。
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