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初の店内調理による【できたて弁当】を提供 今度は『食』でひと工夫の「良品計画」

財界オンライン / 2022年2月9日 7時0分

”無印良品ならでは”の来店動機を

「東京・東池袋は住宅街とオフィス街が混在する地域。一般世帯は約2万5千、事業所は約6千ある。ここに住まわれている方や働かれている人たちにとって必要な商品やサービスって何だろうと考えた時に、店内で丁寧に調理したデイリー、あるいはお弁当、冷凍食品など、日々消耗していく日常品の品揃えを拡充させた店になった」

 こう語るのは、良品計画営業本部販売部長の片木志倫氏。

 良品計画が東池袋の本社1階に新店舗『MUJIcom 東池袋』をオープンした。「必要なものが徒歩圏内ですぐ買える」をコンセプトに、”食”を中心とした地域密着型の小型店だ。

 最大の特徴は無印良品で初めて、店内調理の弁当や量り売りも可能な惣菜を販売すること。弁当の販売や肉や魚などの生鮮食品、有機野菜の販売はこれまでもいくつかの店舗で行ってきたが、今回は初めて自社で企画・開発し、自社のスタッフが調理するできたて弁当を提供する。

 同店舗の商品構成は全部で1200~1300アイテム。このうち、衣料品が約40、生活雑貨は約80アイテムと、ここまで”食”にこだわった店づくりは初めてだ。それはなぜか?

 2021年8月期の同社の連結業績を見てみると、売上高4523億円のうち、生活雑貨が46・8%、衣料品が37・4%を占めるが、食品は12・1%と、他の分野に比べて割合が低い。

 ただ、同期にオンラインストアを含めた国内直営既存店の売り上げを前期比で比較すると、生活雑貨や衣料品はほぼ前年並みであるのに対し、食品は41・8%増。コロナ禍の巣ごもり需要もあって、食品は今後の成長が期待できる分野だ。

 片木氏も「お客様のご来店頻度は平均して1カ月に1~2回ほど。でも、食なら1日3回来ていただける可能性も考えられる。朝、近隣で働く方がオフィスに着いてから朝食を食べる方もいらっしゃるだろうし、ご近所に住んでいる方が買って帰るという普段使いもあるだろうと考えている」と語る。

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食の分野でも消費者の共感を得られるか

 無印良品は1980年に西友のプライベートブランド(PB=自主企画)商品として誕生した。多くの消費者が無印良品に抱いているイメージは、シンプルで素材や環境に配慮した商品が多いということだろう。

 こうした”世界観”が浸透していることは、食の強化を図る上で大きい。同社はもともと「安心・安全」なモノづくりというコンセプトが消費者に支持されてきた面が強く、食の安心・安全が問われる時代にあって、食品の販売においても「無印良品がつくっているなら……」という消費者からの期待も大きいだろう。

 同社は国内外合わせて1002店舗(21年8月末)を展開。ただ、2年間のコロナ禍で消費者の購買行動は変わり、従来のリアル店舗が持つ意味合いも変わってきた。そうした中、同社は今後のリアル店舗の役割をどう考えているのか。

「当社が目指すのは、生活に欠かせない基本的な商品群・サービス群を誰もが手に取りやすい価格にしていこう。店舗がコミュニティセンターという役割をもって、地域で暮らす生活者の方々と共に課題の解決をしていき、社会や地域に良いインパクトを出していこうということ。地域密着型の事業モデルをつくりあげていく」と語る片木氏。

 食の強化で利用客の増加を狙う良品計画。今回の取り組みは大きな試金石となりそうだ。

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