【自動運転時代の地図づくり】ダイナミックマップ基盤社長「日本発のグローバル企業」に
財界オンライン / 2022年2月8日 15時30分
よしむら・しゅういち
1982年栃木県生まれ。2005年三井物産入社。12年産業革新機構入社、20年ダイナミックマップ基盤副社長、22年1月より代表取締役社長CEO。一橋大学大学院商学研究科修了。
「自動運転をはじめ様々な産業へデータを提供して日本発のグローバル企業へ成長していきたい」
ソニーがEVの本格参入を検討 既存の産業秩序を変えるか?
自動車業界を取り巻く電動化と自動運転が一気に進んでいる。中でも自動運転は乗用車のみならず、トラック等の商用車やシャトル、ドローン、PMV(パーソナルモビリティ)にも広がる。その自動運転の実装に不可欠なのが地図だ。
従来の「ヒトが読む地図」とは異なり「機械が読む地図」づくりでは日本で唯一の会社。海外ではトムトムやヒアがいる。
2016年に国の支援を受け、測量会社、地図会社、計測機器メーカーなどが共同で設立。日本の自動車メーカー10社も出資する。
地図は自動運転の「認知」「判断」「操作」のうちの「認知」の領域で活用される。「機械が読む地図」は(高さ情報も含む)cm級の高精度をほこる位置情報をもち、「雨や雪で信号や標識、車線などをカメラ等のセンサーが読み取れなくても、正確な自車の位置情報を読み取り、安全かつスムーズな自動運転が実現できる」。
19年には米ゼネラル・モーターズ(GM)系の同業他社・アッシャーを買収しグループ化。優秀な技術エンジニアと製造オペレーション、グローバルな拠点を手に入れた。同年から日産自動車、翌年にはホンダ、トヨタ等の自動運転機能に採用。GMでは既に15車種に搭載され、2023年までに22車種まで広がる。新興の電気自動車(EV)メーカーの登場や異業種のEV参入は「追い風になる」と語る。
地図の活用シーンは広い。三重県鳥羽市のドローンの実証実験では空域マップを提供。「標識などがない空域でも、飛んではいけない空域や障害物を避けて安全に飛べる」。長野県飯山市では熟練に頼っていた除雪作業を地図の活用を通じて若手でもできるような除雪支援システムの実証実験を行う。
三井物産では建機の貿易やインフラ事業、産業革新機構では新規事業やベンチャー投資を担当。同機構が投資した1社がダイナミックマップ基盤だった。「(デジタル社会において)縁の下の力持ち的な存在だ」と自社の役割を語る。
坂本龍馬をはじめ、幕末の志士たちの「公心が心に響く」。
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