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【株価はどう動く?菅下清廣氏に聞く】米国で「マネーバブルの宴」は終わったのか?FRBの金融政策の行方

財界オンライン / 2022年2月11日 7時0分

「半値押しは全値押し」
 前回、相場の波動から見て米ナスダック指数は天井を付けた可能性があると指摘しましたが、その予想を裏付けるようにその後下落する展開となっています。

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 中期トレンドでのナスダックの出発点は2020年3月23日のコロナショックの安値、6631ポイントでした。21年9月7日の1万5403ポイントは今から振り返ると一番天井、21年11月22日に1万6212ポイントという二番天井を付けて下落局面に入っています。

 直近の安値が21年10月4日の1万4181ポイントでした。この水準を割るか割らないかが攻防の分岐点と見ていましたが、これをすんなり割り込みました。1月24日にはザラ場で1万3094ポイントという安値を付けたのです。引け値では買い戻されましたが、今なお下落トレンドが続いています。

 コロナショックの安値から11月22日の高値まで9581ポイント上げました。この半値押しは、相場の波動から意識されるところですが、1万1421ポイントが計算上の数字です。つまり、半値押しのブレークポイントは前述の10月4日の安値、1万4181ポイントでした。

 その攻防の分岐点を下に突破しましたので、21年11月22日の高値は歴史的な天井となった可能性があります。すでに半値押しを下回って下げていますが、相場の格言に「半値押しは全値押し」というものがあります。これは相場の出発点である6631ポイントに向かって下落する可能性があるということです。

 大きな下落の時には、高値から15~20%下げるというのが経験法則です。今回、仮に21年11月22日の天井から20%下げると1万3000ポイント割れとなりますが、すでに1月24日には1万3094ポイントを付けており、今まさに半値押しの水準です。半値押しは攻防の分岐点です。

 リーマンショックなど過去の大暴落の時には、一番厳しい時には高値から30~40%下げていますが、40%下げると9800ポイントくらいの水準になります。はたして、半値押し水準の1万3000ポイント近辺で下げ止まるか、さらなる下落が待っているのか?

 これまでFRB(米連邦準備制度理事会)は22年3月末までに量的緩和を終了するとしています。しかも、同時並行で利上げがあり得る情勢で、それを織り込む相場となっています。

 このまま、FRBが説明してきた通り、3月上旬にも量的緩和を終了し、年数回の利上げを行うということが現実になると、米国の「マネーバブル」の〝宴〟の終わりが現実味を帯びてきます。それを織り込んで、ナスダックは21年11月22日に天井を付け、下落トレンドに入っているわけです。

 1月25日・26日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)でのFRBの発言は、これまでの金融引き締め、利上げという姿勢からトーンダウンしませんでしたから、前述の下落トレンドが3月下旬にかけて続きます。

 今回の下落相場はナスダック先行型です。ナスダックが下落する局面でも、ニューヨークダウは下げ渋ったりすると思いますが、米国の株式市場は当面の天井を付けたと思いますから、この後ニューヨークダウも次第に下げてくることになります。

 ニューヨークダウは上がったり下がったりを繰り返しながら、次第に安値を切り下げる展開が予想されます。21年3月23日の安値、1万8213ドルから、ナスダックから1カ月ほど遅れて22年1月5日に3万6952ドルで天井を付けました。

 ニューヨークダウはまさに以前指摘したように、酒田五法でいう「団子型天井」になっています。21年5月10日、8月16日に3万5000ドル台の高値を付けた後も、3万5000ドル台、3万6000ドル台の高値を何度も付けたのに、ついに3万6000ドル台の壁を抜け切ることができず、下落しています。

 直近の安値は21年12月1日の3万4006ドルでしたが、これを切ってくるとはっきりと下落トレンドとなりますが、1月24日にはザラ場で下に抜けてきました。

 今後、FRBが宣言している金融引き締め、利上げが続くことになると、ニューヨークダウも3万6952ドルから、少なくとも20%は下落する可能性があります。この水準は2万9500ドルから2万9600ドルという辺りです。つまり、3月末までに3万ドル割れがあり得るということです。

 以上はFRBの金融政策が株式市場に与える影響ですが、今後、ロシアがウクライナに侵攻したり、それによって米国とロシアの緊張が非常に高まり、第2の「キューバ危機」のような事態になると高値(天井)から40%程度下落する可能性があります。

 ニューハイテク株、ナスダック牽引型の米国のマネーバブル相場が終焉したか、あるいは「第1幕」が終わったということです。「第2幕」があるかどうかはFRBの金融政策次第です。

 連動して日経平均株価は今後も大幅に下落する可能性があります。ニューヨークダウが安値を切り下げていく局面で、日経平均も21年9月14日の3万795円という二番天井から、状況次第では20%程度下げるかもしれません。その場合、2万4500円近辺まで下げる可能性があります。これは20年3月19日の安値(底)から21年9月14日の高値(天井)3万795円までの上げ幅の半値押し近辺です。

 ニューヨーク株が天井を打って下落していますから、日経平均も連動して下がる局面ですが、今の岸田政権は、それを後ろから押すような姿勢を見せています。「成長と分配」どころか、増税をしようとしており、再び「金融所得課税」の強化にも言及しています。

 すでに株式市場は岸田政権の政策に対して批判的になっています。米国でも日本でも、株価が下落、景気が悪化して選挙に勝った人はいません。足元では政権の支持率は上がっていますが、日本の株価が下落する事態を招いたまま、景気対策を打たずに参議院選挙に入れば、自民党が大敗、岸田退陣の恐れも出てくるものと予想します。一言で言って22年は株価、政治も〝波高き年〟となりそうです。

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