【不動産も手掛けるオリックス】オリックス不動産の「金融デベロッパー」としての強みとは?
財界オンライン / 2022年2月17日 7時0分
深谷敏成 ふかや・としなり
1965年9月兵庫県生まれ。88年慶應義塾大学商学部卒業後、オリエント・リース(現・オリックス)入社。2017年執行役、20年オリックス不動産社長、21年大京社長を兼務。
先を見通しづらい不動産市場の中で
当社の事業は「不動産投資・開発」、「施設運営」、大京を中心とする「住宅開発」という3つが大きな柱となっています。
【写真で見る】オリックス不動産が手掛ける物件とは?
中でも、施設運営事業に力を入れようと、2020年4月にオリックス・ホテルマネジメントを設立し、事業のレベルを一段上に引き上げ、日本の観光立国に貢献しようと取り組んできました。しかし、そこに襲ってきたのがコロナ禍でした。まさに「一寸先は闇」という言葉を実感しています。
一方、19年にオリックスが大京の全株を取得し、不動産セグメントに加わりました。当初は新築分譲の市場は縮小を見込んでいましたが、コロナ禍で人々のライフスタイルが変わり、住宅実需のニーズが高まっています。施設運営事業の収益低下を、住宅開発がカバーしているのです。
投資市場を見ると、海外投資家の日本への投資意欲が強いことに加え、日本の機関投資家にとっても安定運用ができるということで不動産投資の位置づけが高まっています。要求利回り(キャップレート)はむしろ下がっており、投資の見極めは難しいですが、イグジットするのにはいい環境です。
先を見通すのが非常に難しいですが、一つ言えるのは付加価値の高い物件は、流動性、キャッシュフローのいずれも高いということです。いかにそうした物件を開発し、投資していくかが問われます。
流動性を意識した不動産投資・開発を
当社の最大の強みは、金融系のデベロッパーであることだと考えています。常に流動性を意識した投資・開発を行っており、キャッシュフローもいい。そしてオリックスのビジネスモデルとして一定期間でポートフォリオを入れ替えていくため、それを前提としながら中長期投資を行っています。
オリックスのDNAであるコストコントロールは大事にしながらも、付加価値をどう生み出すかを大事にしていこうと社内に訴えています。
そして、グループで環境エネルギー事業に取り組んでいますから、他のデベロッパーに比べても環境に対する感度が高いと思っています。
20年8月に開業した複合施設「クロスゲート金沢」では米国環境性能評価認証を取得していますし、大京はZEH(Net ZeroEnergy House)に積極的に取り組んでいます。
キーワードは「サステナブル」です。環境を意識しながら何ができるか? を頭に置いて意思決定をしていますが、そこでコストがかかったとしても将来価値があれば投資するというスタンスで取り組んでいます。
逆に言えば今後の課題は、その良さを生かしながら、超長期投資にいかにチャレンジしていくかだと思います。
そして、大手デベロッパーとは違う立ち位置を生かし、我々が開発した物件が、常に「他にない付加価値がある」と言っていただけるようにしていくことが重要です。そして地域と共生し、活性化に貢献していきます。
グループの中でも、独立して生きていくくらいの力を持った不動産会社になる心づもりでマネジメントを行っています。「オリックスのオフィスだから安心して入居できる」、「オリックスのホテルだから泊まりたい」といった形で、グループのブランド価値向上にも貢献していきたいと思います。
オリックスグループの精神は、「何かやらなければ生き残れない」という健全な危機意識と、「隣へ」という意識で常に新しいことに挑戦することです。この精神を根付かせることも私の仕事だと考えています。
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