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【コロナ禍の保健所で活躍】音声で「生産性向上」目指すRevcomm

財界オンライン / 2022年2月25日 7時0分

會田武史・レブコム代表取締役

コロナ禍で電話が殺到する保健所。この課題解決に一役買っているのが、RevCommのAI搭載IP電話『MiiTel(ミーテル)』。レブコム創業者で社長の會田武史氏は「極めて効率的で生産性の高い音声インターフェースで日本の生産性を高めていきたい」と語る。誰もが利用できる音声サービスで、どんな社会を目指そうとしているのか─。
本誌・北川 文子 Text by Kitagawa Ayako


なぜ今、音声なのか?

 最も手軽で身近な〝音声〟が今、改めて注目を集めている。

 コロナ禍の在宅勤務を機に「ながら聴き」のリスナーが増加。

 全国のラジオをネットで聴ける『radiko(ラジコ)』、音声配信の『stand.fm(スタンドエフエム)』や『voicy(ボイシー)』、音声SNSの『パラレル』など国内勢に加え、ネットフリックスやアマゾン、メタ、スポティファイなどのIT大手が音声事業を強化している。

 また、リモートワークや在宅勤務で営業の形もオンラインに変化。店舗を閉鎖し、電話応対を拡充する企業も増えており、コールセンター業務が拡大。音声は”次のプラットフォーム”になるとも言われ、各国企業が紳サービス開発にしのぎを削る。

 音声認識システムは「音声の文字化」と、声で個人を特定する「声紋認証」が主な技術。

 これらの技術を使えば、生産性向上が期待できるとあって、米マイクロソフトは2021年、音声認識技術を手掛ける米ニュアンス・コミュニケーションズを2兆円を超える金額で買収すると発表。医療などヘルスケア領域のクラウドサービスを強化する。

 日本でこの分野をリードするのが17年7月設立のベンチャー、RevComm(レブコム)。「AI×音声×クラウド」の「音声AIプラットフォーマー」を目指している。

 主力商品は18年10月にリリースしたAI 搭載のIP電話『MiiTel(ミーテル)』。主な機能は「電話内容の解析、定量化」「全通話録音・文字起こし」「CRM(顧客関係管理)連携」の3つ。

 今までブラックボックスだった通話内容を可視化できるため、営業や顧客対応の質の向上やリモートワーク環境の整備に貢献。また、自動文字起こし機能があるため入力作業の手間が省け、生産性も向上できる。

 21年1月にはオンライン商談ツール『MiiTel Live』もリリース。

 現在、累計導入社数1100社、ユーザー数は2万7500人を超え、拡大を続けている。


入力作業の削減など
保健所の負担を軽減

『ミーテル』はコロナ禍の保健所でも活躍している。

 東京都は新型コロナ第5波に対応するため、21年10月『保健所デジタル化推進担当』を設置。

 担当課長が全保健所を訪問し、業務に関するヒヤリングを行ったところ、電話業務の改善要望が多かった。そこで、この課題を解決できるサービスを探したところ、『ミーテル』を発見。

「文字起こしをするだけでなく、通話内容の解析機能もあり、〝単語登録〟で文字起こし精度を上げながら活用できることに価値を感じた」(担当者)という。

 また、クラウドIP電話のため、工事が不要で、回線をすぐに増やすことができる点も導入を後押しした。

 昨年11月から一部保健所で導入し、12月から全保健所に導入。

 実際に利用すると、通話内容が自動で文字化され、管理画面で一元管理できるので「情報の共有に役立つ」他、事前に『積極的疫学調査』『オミクロン』などの単語を登録することで、AIが「正確に文字起こしできる」という。

--{”文字入力”と”音声”の決定的な違い}-”
音声入力にかかる時間は
文字入力の3分の1

「会社を設立した17年7月はまだ三菱商事にいました。三菱商事始まって以来、初の副業を認めてもらいました」─。

 レブコム創業者の會田武史氏 は1989年生まれ。三菱商事では自動車のトレーディングなどに従事していた。

「ウクライナやサウジアラビアなど文化の異なる市場に乗り込んで『ビジネスしろ』という抽象的なお題を形にしていくプロセスは新規事業をする上ですごく役立った」と語る。

 〝音声〟という未知の領域で起業した理由は次のように語る。

「次のユーザーインターフェースは音声だと思っています。ウクライナやサウジアラビアで仕事をしていたとき、みんな『WhatsApp』という『LINE』のようなアプリを使って、文字ではなく声でやりとりしていた。音声入力の入力時間は文字入力の3分の1。50代以上やティーンエイジャーはより簡単な音声入力に流れている」点に注目。

 また「世界の潮流を見ても、16~17年はボイステックへのリスクマネーの投下がすごく伸びていたので、『これはくるだろう』と感じた」。

 そして「日本の生産性の向上。2000年に8600万人だった生産年齢人口が20年には7500万人になり、60年には4400万人になる。日本のGDPを維持、拡大するには生産性の向上しかない。極めて効率的で生産性が高い音声インターフェースで日本の生産性向上に貢献したい」と語る。

 事業領域を決めると、現場の課題をヒアリングし、仲間を集め、音声、AI、クラウドサービスの『ミーテル』を構築していった。

 今後は「自動アポ取りAI」などミーテルの改良・改善を進める他、「音声解析エンジンを営業だけでなく、人事や教育などにも活用」、「アマゾンのリコメン機能の経営版のような経営判断AIの開発」を目指す。

 海外展開も視野に入れる。

「解析エンジンやアプリを提供する企業はあるが、IP電話まで持ち、サービスをワンストップで提供できる会社は海外にもない。競争優位性を活かし、インドネシアにも進出していますし、アメリカ進出も考えている」

 学生時代、Enactus(イナクタス)という国際NPOなどで活躍した會田氏。尊敬する経営者はビル・ゲイツやロック・フェラー。

「資本主義で得た社会的資本や経済的資本を資本主義の外に還元したいという思い」がある。「自分や狭い世界のためでは共感を得られない。『世のため人のため』にやるから、いろんな人が協力し、理想が実現可能になる」と語る。

 音声は、最も原始的で手軽なコミュニケーション手段。今までデータ化されてこなかった音声をデータ化し、プラットフォーム展開することで、新たな価値創出に挑む。

塩野義製薬社長が語る「コロナ禍の役割」

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