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なぜ今、日本人に宗教が必要なのか? 答える人 日本総合研究所会長・寺島実郎

財界オンライン / 2022年2月22日 18時0分

自分たちの宗教論とは何か

 ―― 寺島さんは『人間と宗教』を刊行されました。宗教をタイトルに盛り込んでいますが、改めて、この本を刊行した狙いを聞かせてくれませんか。

 寺島 コロナの2年間で多くの日本人が分かったことは、心の迷いや弱さを認識し、最近は「レジリエンス(回復力・耐久力)」という言葉をよく耳にしますが、要するに、極端に日本人の心の耐久力が弱くなっているということです。

 わたしは何も教養を深めるために宗教を学びましょうという話をしているのではありません。戦後の日本をひたすら生きてきた一人の人間として思うのは、自分たちの宗教論とは何かと。

 わたしは決して宗教学者でもないし、特別に何かの宗教に帰依しているわけでもありませんし、ビジネスの現場を生きてきた人間です。そうした一人の生身の人間が世界に出て、多くの国々を動き回るうちに感じたことは、海外の人たちの驚くほどの宗教熱量の違いです。

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 ―― 日本人との宗教観の違いですか。

 寺島 ええ。彼らの宗教熱量の高さに驚く一方で、日本人の宗教熱量は対照的です。

 例えば、毎週日曜日に必ず教会に行くアメリカ人の熱量とは何なのか、1日5回祈りをあげているイスラム教徒の情熱とは何なのか。そういうことを海外に出れば、否が応でも感じるわけです。

 わたしは1970年代、所属していた三井物産で、その後の自分の人生を変えることになった「イラン・ジャパン石油化学プロジェクト(IJPC)」に携わりました。資源小国である日本の成長基盤を支えるエネルギーを確保するため、イスラム原理主義革命が起きたイランとの関係を深めるために、中東関連のありとあらゆる文献を読み込みました。

 ―― その中で、イスラム教にも向き合ったと。

 寺島 はい。現地の人たちのことを理解し、真剣に向き合うために、どうしても必要になるのは宗教への理解です。その後、わたしの人生のライフワークにもなるのですが、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教といった中東一神教に関する文献や書物を読み、現場に行ってフィールドワークを重ねたわけです。

 例えば、まさに中東一神教の拠点であるイスラエルでは、キリストが処刑されたというゴルゴダの丘を二度訪れ、イスラムの聖地であるメッカなどの場所に足を運び、自分なりに向き合ってきました。当然、仏教の聖地にも行きましたが、そういう中で、日本人の精神の基軸とは何かということを考えるきっかけとなりました。

『人間と宗教』は、宗教に関する教養書でもなく、戦後の日本を生きてきた人間がどういう魂の基軸で、この国の再生を実現していくのかということを、わたしなりの視点で体系的に書いたものです。

続きは本誌で

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