【国土交通省】海運業界が空前の好況に 国交省は運賃高騰を警戒
財界オンライン / 2022年2月20日 15時0分
海運業界に空前の好況が訪れている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な「巣ごもり需要」に加え、物流の混乱で運賃が高騰しているためだ。
2月初めまでに日本郵船など海運大手3社が発表した2021年4~12月期決算はいずれも大幅な増収増益となり、22年3月期の純利益も過去最高を更新する見通し。半面、運賃高騰は日用品の値上げを通じて国民負担を増やしかねず、国土交通省は警戒を強めている。
21年4~12月期は3社が共同で出資するコンテナ船運営会社の事業が好調に推移し、純利益は日本郵船が6922億円と前年同期から約13倍を記録。商船三井と川崎汽船も6~7倍の大幅増益となった。
各社とも現在の堅調な需要が年度末まで続くとみて、今年度で4度目となる業績予想の上方修正に踏み切った。純利益の見通しは日本郵船が9300億円と2200億円上積みし、商船三井が6300億円、川崎汽船も5200億円とそれぞれ1500億円の増加を見込む。
運賃高騰の背景にはデジタル化の進展や経済活動の正常化に伴って半導体などの需要が世界的に高まっていることに加え、コロナ禍を受けた人員不足で北米を中心に港湾での作業が滞っている事情がある。
日本郵船の丸山徹執行役員は「物流の一端を担う者として何とかしたい」と強調し、人工知能(AI)も活用したコンテナ配置の効率化などの改善策に取り組む考えを示す。
国交省も海運会社や荷主の団体が集まる会合を随時開催して情報の共有に努めるとともに、関係各国に対しても改善を求めている。ただ、港湾の混乱に関しては「なかなか簡単には解消しづらい」(川崎汽船の山鹿徳昌常務)と各社の見方は一致する。
斉藤鉄夫国交相も「米国やカナダにしっかりお願いすることがベースになっている」と主体的な対策が難しいことを認めており、正常化は当面見込めそうにないのが実情だ。
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