【TDK】次期社長に齋藤常務 センサー事業の育成が課題
財界オンライン / 2022年3月10日 15時0分
電子部品大手のTDKは4月1日付で、社長の石黒成直氏が会長に、常務執行役員の齋藤昇氏が社長に昇格する人事を発表した。
石黒氏は在任約6年で、 ”ハードディスク駆動装置(HDD)用の磁気ヘッド頼み”と言われた経営から脱却し、高周波部品やリチウムイオン電池の拡販を実現。特に電池事業は売上高の約半分を占める主力事業へと成長したのだが、近年は”電池依存へのリスク”も指摘されており、齋藤氏には近年注力するセンサー事業などの強化が求められている。
同社はHDD用磁気ヘッドやコンデンサーなどの受動部品、リチウムイオン電池などの二次電池に強みがある。足元では新型コロナウイルス感染症が世界的に収束へ向かいつつあり、自動車生産の回復で受動部品やセンサーの販売が増加している。
2022年3月期は、売上高1兆8500億円(前年同期比25・1%増)、営業利益1600億円(同43・5%増)の見通しで、業績は好調。
だが、同社は24年3月期を最終年度とする中期経営計画で、営業利益率12%以上を掲げているが、21年3月期は7・5%。日本の製造業では”優等生”に位置づけられるが、電子部品業界を比較すると、京セラの4・6%に比べれば良いものの、村田製作所の19・2%はおろか、日本電産の9・9%など、他社に差を付けられている。今後は赤字が続いていたセンサー事業などの更なる収益改善が必要だ。
齋藤氏は1966年生まれの55歳。89年同志社大学法学部卒業後、TDK入社。欧州営業統括部長や電子部品営業本部長、戦略本部長などを歴任。2013年に常務執行役員へ就任、17年からはセンサシステムズビジネスカンパニーのCEO(最高経営責任者)を兼務している。
ここ10年、電子部品業界の好業績を支えてきたのはスマートフォン向けだった。ただ、スマホ市場が成熟化する中、次なるターゲットは自動車やあらゆるものがインターネットでつながるIoT関連へと移りつつある。その意味でも、センサー事業の強化は不可欠。同事業のトップでもある齋藤氏が社長に抜擢された理由はそのためだろう。
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