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【ウクライナ侵攻】識者はどう見る? 日本総合研究所会長・寺島実郎

財界オンライン / 2022年3月9日 7時0分

日本の選択は?

 今回のウクライナ侵攻の深層にはプーチン大統領の思いが横たわっている。

 プーチン大統領の名前はウラジーミル・プーチン、「ウラジーミル」はキエフ大公(在位978~1015)に由来する。キエフ大公は、ロシア史において時代の転換を促す動きをした、ロシア史において最初にキリスト教徒になった皇帝である。

 ウクライナは歴史の激動に翻弄されてきた。1299年にはモンゴルが襲来、「タタールのくびき」に制約されてきた。全体に危機感が高まり、その後、帝国の主座をモスクワに移した。これがロシア正教の始まりである。ロシアとウクライナはこのように微妙な関係にある。

 プーチン氏の言動を見るときにこうした歴史を頭に入れておく必要がある。プーチン氏はマルクス・レーニン主義に基づく社会主義には何の郷愁も感じていない。共鳴するのはロシア正教であり、それに基づく正教大国を作ろうという野心だと思う。

 国際秩序を武力で踏みにじる。こういうプーチン氏を増長させたものはなにか。日本もその責任の一端があると思う。2014年のソチ冬季五輪の際、直後にプーチン氏はクリミア半島を併合する動きに出た。こうしたプーチン氏の乱暴な動きに警戒を強めていた西側の民主主義陣営は、ソチ五輪への首脳の出席を見合わせた。西側では唯一、日本の安倍晋三首相が出席した。

 日本は北方領土問題を抱えており、見返りを期待しての出席だったわけだが、その外交戦略は甘かった上、ロシアを増長させた。それから8年後の今、ウクライナへの侵攻である。

 今後、日本はどうふるまうべきか? 欧州の中で、例えばドイツはロシアからのLNG(液化天然ガス)の供給を断つ覚悟で今回動いている。この問題は日本にとって縁遠い話ではない。日本が輸入するLNGの中でロシアからの輸入分は1割に達する。いま日本はG7(主要7カ国)などと協調しながら金融の制裁などの措置を取っている。

 今後、制裁レベルも上がり、ロシアとの関係が厳しくなっていく際に、このLNG輸入問題も含めどう対応するか、日本も覚悟が求められている。

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