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超高齢社会にどう対応するか? 辻哲夫・元厚生労働事務次官を直撃!

財界オンライン / 2022年3月13日 11時30分

辻 哲夫・元厚生労働事務次官

超高齢社会への対応は街づくり全体の問題

 ―― 超高齢社会に向けて最新の研究に取り組んでいるのが、東京大学高齢社会研究機構の辻さんです。まずは超高齢社会の現状認識から聞かせてもらえませんか。

 辻 これからの超高齢社会を展望する上で、高齢者世帯の変容ということが大きなポイントとなります。2025年段階では、1人暮らし世帯が高齢者世帯の4割近く、夫婦2人の世帯が3割強になる。つまり、元気な他世代のいる世帯、普通は子どもとの同居ということになりますが、それはたった3割しかいないんです。

 2040年に向けてはさらに超高齢化が進む一方、人口は確実に減少していきます。これは、今まで経験したことのない未知の社会であり、いろいろな課題がありますが、一番はっきりといえることは、歳をとっても、できる限り元気で自立した社会を目指すということです。わたしども東京大学では、今後はフレイル(加齢による虚弱化)予防が国家的課題になると見通して、このことに取り組んでいます。

 ―― では、改めて、フレイル予防とは何なのか。

 辻 フレイルというのは、老いに伴う虚弱で要介護状態の手前までの中間の状態ということです。2014年に日本老年医学会が定義した概念ですが、この状態はまだ元の方に戻れるということが重要な点です。

 現在の85歳というのは、元気な方も多くおられますが、平均的には、要介護の入り口か、要介護の状況にあります。先ほど高齢者世帯の大半が1人暮らしか夫婦2人暮らしと言いましたけど、こうした方々が時間の経過とともにフレイルが進行すれば大変なことになります。

 加えて、今はコロナ禍によって家に閉じこもった高齢者が増えていますので、将来さらに要介護者が増えることが懸念されています。ことほど左様に、今後は医療・介護サービスのニーズが大幅に増えていきますが、公的な財源には自ずから限界があります。

 したがって、今後は早期の介護予防としてフレイル予防政策が不可欠になります。一方において、高齢期にフレイルで弱りかけたら、困りごとがいっぱい出るわけですよ。見守りも必要だし、買い物やごみ捨ても大変だし、これらを地域としてどう対応していくか。歳を取っても弱りにくいとか、買い物やごみ捨てがちゃんとしやすいとか、そういう街づくりが必要になるわけですね。

ルネサンス会長・斎藤敏一の「フィットネスを通じて地域にコミュニティを!」



 ―― そうなると、街づくりにおいても新しい対応が必要になってきますね。

 辻 ええ。最終的には超高齢社会への対応というのは街づくり全体の問題になるんですね。そういうような観点から東京大学でもフレイル予防研究だけじゃなくて、ICTの活用を含めて日常生活圏単位を基本に置いた街づくりの研究をしています。

 コロナ禍はまさに近未来の日本への警鐘でもあり、もう待ったなしの状況なんですね。

 前代未聞の超高齢社会を迎えるに当たっては、国や地方の行政の取り組みだけで到底受け止められるものではありません。

 総力戦で挑まなくてはならない。産・官・学・民を挙げて、とりわけ、産業なくして社会の持続可能性はないわけですから、企業が加わっていただかなければ超高齢社会日本は成り立たないというのが、わたしどもの基本認識です。

続きは本誌で

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