「日本人よ、魂の基軸を取り戻せ!」寺島実郎・日本総合研究所会長
財界オンライン / 2022年3月18日 7時0分
経済人が考えるべき大きなテーマ
―― 寺島さんは近年、「日本の埋没」という話をしていますが、これはどういう意味ですか。
寺島 失われた30年と言われる中で、世界のGDP(国内総生産)に占める日本の割合はピーク時の3分の1まで低下しました。しかし、日本の埋没というのはGDPの話だけではありません。
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日本にも優秀な人材は沢山います。しかし、いわゆる「MBA(経営学修士)シンドローム」のような中で企業価値最大経営のようなものを学び、今度は自己価値の最大化ということで、自分の商品価値を最大化するという生き方をし始めた。
そのように生きているうちに、日本国自体が埋没していったということです。
―― 企業価値最大化がいつの間にか、自己価値の最大化に矮小されていると。
寺島 例えば、海外の大学でMBAを取得したり、官僚や企業を辞めて、外資系ファンドに移ったりしたような人は沢山います。
その中で、自己価値最大化のために外資に転じたり、コンサルタントになったりして、巨万の富を得ている人が少なくはないのですが、果たして、日本全体として豊かになったと言えるでしょうか。
つまり、自分の個人としての価値最大化と、瞬間風速としての企業価値最大化ばかり目指しているうちに、日本という国は貧しい国になってしまったといえます。だからこそ、わたしは魂の基軸を取り戻すべきだと言いたい。これは経済人が考えるべき大きなテーマなのです。
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