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【金融庁】首相肝いりの四半期開示見直し 議論開始も難航必至

財界オンライン / 2022年3月15日 11時30分

企業に3カ月ごとの業績公表を義務づけている「四半期開示」について、金融庁が金融審議会(首相の諮問機関)で見直し議論を始めた。「新しい資本主義」を掲げる岸田文雄首相の肝いり政策の一つで、見直しによって「企業が短期的な業績に囚われず、人への投資も含めた中長期的な経営戦略に取り組むよう促す狙いがある」(官邸筋)という。

 だが、市場関係者や学識者の間では「四半期開示の制度が経営の短期志向を強めているとの理屈は理解しがたい。投資判断に必要な情報開示が減れば海外マネーの日本企業離れを助長しかねない」(大手証券幹部)と義務付け廃止への反対論が多数。

 また、日本企業の人件費がこの10年間ほとんど増えず、設備投資や研究開発費も1・4~1・5倍程度と低迷しているのは確かだが、この間四半期開示制度を続けてきた米国の企業は同じ期間に人件費や設備投資、研究開発費を2倍前後に引き上げている。「四半期開示義務が企業の間に短期経営志向を生み、賃金や人材育成も含めた長期の成長投資の妨げになっている」との首相の主張は、根拠が薄弱と言わざるを得ないのが実情。

 金融庁は今春をめどに報告書をまとめる方針だが、首相の意向と市場のニーズが隔たる中、調整が難航するのは必至だ。官邸も市場も納得させるような落としどころはないのか。金融庁は知恵を絞っているが、一筋縄ではいきそうにない。

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